なぜ日韓関係は大切?
慰安婦問題や徴用工問題など、昨今声高にニュースで取り上げられている日韓問題であるが、正直な所しっかり理解することができているだろうか? あまり日韓関係について詳しく知る機会がないのが現状であり、学校教育でも基本的には通史を学ぶのみである。グローバリゼーションが進む現代社会の中で日本に移住する外国人の数も増え、周りに韓国人やハーフの知り合いがいることも珍しくないだろう。そこで、この記事では日韓関係についての基礎を解説し、韓国への理解を深めていきたい。
20世紀前半の日韓関係
18世紀末頃からにかけてフランス革命やアメリカ独立戦争など社会契約論に代表される啓蒙主義の広まりと共に近代国家の様相が世界的に形成されつつあった。そういった国際社会の過渡期に、韓国(朝鮮国)も同様に生き残りをかけて近代国家への転換を模索していた。しかし、結果的には1910年に日本の統治下に入ることとなり、アジア・太平洋戦争が終結する1945年までの35年間を過ごすこととなる。同化政策が行われ、第二次世界大戦前、戦中を通して日本が経済的支援やインフラ整備をするなど発展の文脈で捉えると良い影響をもたらしたが、特に大戦中に徴用工や従軍慰安婦などに代表される負の問題が発生した。これらの問題が両国の歴史認識や相互感情に影響を与えており、特に実体験または家族から実際の話を聞いている高齢世代で排斥感情が強いのは両国で同様の傾向である。
20世紀後半の日韓関係
1945年8月15日に日本がポツダム宣言を受諾し無条件降伏し太平洋戦争が終結したのに伴い、日本軍による韓国占領は終わりを迎えることとなる。しかし、連合軍側の都合により朝鮮半島が南北に分割され、占領者が日本軍から米国軍、ソ連軍に移ったのみで真の独立を取り戻すには至らなかった。政治的な事情も絡み、1948年に南部のみで総選挙が行われ李承晩が大統領に就任し、大韓民国政府が樹立された。同年に金日成の元で北朝鮮に朝鮮民主主義人民共和国政府が樹立した。現在日韓関係において取り糺される問題は日本の韓国占領時代に遡及するものがほとんどで、在日韓国人問題、徴用工問題や慰安婦問題がその例である。多大なる政府の外交努力の末に、2015年に慰安婦問題に関して日韓両政府が最終的かつ不可逆的な解決に合意するなど、日韓問題は少しずつ解決の方向に歩み続けているが未だ完全なる和解には至っていない。
文化が繋ぐ日韓関係
このように未だに両国間には埋まらない溝があるように見えるが、近年両国の若者世代を中心に親日、親韓感情が広まりつつある。そんな両国の橋渡しとなっているのは「文化」である。たとえばBTSやBLACKPINKを代表とするK-POPは日本でも大人気であるし、韓国文化の日本拠点である新大久保は連日若者で盛況である。一方日本には、漫画やアニメなどの人気の根強い文化があり、言語の類似性がある韓国では韓国語版で日本のアニメ、漫画を多数視聴することができる。幅広く広まった相手国の文化に触れる機会の多い若者が、自然と両国に親近感を感じるのは当然だろう。なおかつ戦後70年以上が経過し、対立の大きな火種である占領中問題の記憶から程遠いことも若者達の親日、親韓傾向の高まりに寄与していると考えられる。
これからの日韓関係
これまで述べたように改善しつつある日韓関係であるが、これからさらに進むグローバル社会を生き抜くために更なる発展が求められるだろう。隣国同士、お互いの手を取り合って生きていくために、私たち個人々々も自分の行いを省みて日韓関係の改善へと強い意識をもたなくてはならない。