木工技能の世界大会に出場する際に師匠からいただいた鉋。師匠が現役の際に使用していたもの。”道具を見れば職人の技量がわかる”。自分も長く大切に道具を使って作品を生み出す職人を目指したい。
1955〜1994年製の一円玉。毎年発行されている硬貨を年号順に並べてみたいと思い立ち、集め始めた。見るたびに苦労して集めた日々が頭に浮かぶ。お金の重みを感じられる存在として大切にしていきたい。
祖父母宅の物置から貰ってきた1966年もののタイプライター。改行が近づいていることを知らせるベルの「チーン」という音が心地良い。母は子どもの頃おままごとの時にレジの代わりにして遊んでいたそうだ。パソコンと異なり、英文しか打ち込むことのできない不便さがかえって愛おしい。
1981年に大滝詠一がリリースしたスタジオアルバム『A LONG VACATION』。リズムに拘った前期ナイアガラの苦節を経た大滝が、自身のシンガーとしての側面を押し出した作品。彼によるアメリカンポップスの複眼的な探求が実を結び、その精緻に練られた楽曲には彼の青春が詰まっている。加えて松本隆によるしっとりとした詩情とその全てが見事に結実し、その一曲目からリスナーの心に“breeze”が駆け抜け、浮世離れしたリゾートへと誘う。
1908年に刊行された新聞紙。重く複雑な歴史の潮流のなかで古びたこの新聞紙は、当時の人々の思いや考えを百年もの時を越えて我々に物語る。中にも「臺灣の起業と移民」と題されるコラムが書かれており、植民地時代の様子を想起させるともに、いくらかの無力感と内省、そして心の震えを感じずにはいられない。重厚な歴史から何を学び、何を受け継いでいけばいいだろう。恐らくその答えは、歴史の傷と足跡をたどる勇気のある者にしかわからない。
5年ほど前に祖父からもらった財布。祖父によると、20年ほど前にインド人の友人にもらったそう。「ELEPHANT GENUINE LEATHER」とのみ刻印が押され、ブランド名さえもわからない。幾分か傷はついているものの、きつね色のゾウ革は、当時の優しい手触りをそのままに残している。