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【テレビドラマ】岡室先生にインタビュー!

早稲田大学 岡室先生 ドラマ インタビュー
ただ見るだけ、楽しむだけではもったいないドラマ鑑賞。もっと色んな視点から楽しみたいですよね。今回は現代演劇研究やドラマ研究を専門にされている、早稲田大学文学学術院教授の岡室美奈子先生にお話を伺ってきました! あなたのドラマ鑑賞がもっと楽しくなる、そんなインタビューです!


ーー先生は元々演劇を研究されていたと思うのですが、なぜ趣味であったドラマを研究の対象とするようになったのですか?

 文化構想学部を2007年に作ったときに表象メディア論系には、長谷正人先生という私よりも前からテレビ研究をやってらっしゃる方がいて、テレビってすごく私たちの日常生活に密接したものなのに学問研究の対象にあんまりなってないよねという話になりました。そのときちょうど文化構想学部で新しいことをやろうって盛り上がっていたので、だったらテレビ研究やりましょうっていうことで、長谷先生と私が担当する『テレビ文化論』っていう科目を講義と演習で2つ立てたのがきっかけです。今ではテレビ文化論の講義は長谷先生、演習は私が担当し、私はテレビ史という講義もやっています。

ーーテレビは身近なのに学問になっていないという問題意識について詳しく教えてくださいますか?

 まず、なぜテレビが学問研究の対象になってなかったかっていうと色んな要因があるんだけど、1つはテレビっていうのが映画と違って消耗品であるという考え方が結構根強くあったんですよね。映画は芸術として評価されるけどテレビは日々消費されていくもの、ということです。だけどむしろ、その消耗品としてのテレビというのが面白いんじゃないかとも思うんですよね。
 これまで、テレビ研究は基本社会学の人がやってきたんですが、社会学の方々はドラマの分析はあまりやらないんですよ。で、私は元々演劇研究者だから、ドラマの分析をしたいと思い始めました。
 もう1つの理由は、テレビの本放送が始まるのって1953年なんですけど、大体50年代から70年代っていうのは番組の映像が残っていないんですよ。そうすると、結局一次資料がないので、なかなか研究の対象になりにくかったっていうことはあるんですね。VTRが登場しても、少なくともVHSなどが登場するまでは、なかなかテレビの番組を見返すっていうこともできなかったので。

ーー先生はドラマを皆同じ時間で見るという共通性についてよく触れていらっしゃいますが、今配信サイトの隆盛によってそうしたドラマならではの特徴が失われていきつつあるように思います。今後ドラマは配信サイトの影響を受け、どうした立ち位置になっていくとお考えでしょうか?

 まず1つは、共有性に関してはそんなに薄れていないと思っています。私はTVerは偉大だと思っていて、いつでも好きな時に見られるというのはすごくいいことだと思っているんですよ。だけど、配信ドラマで素晴らしいドラマって色々あるんだけれど、一斉に大きな話題にはならないじゃないですか。今年は『サンクチュアリ -聖域-』が話題になったり、宮藤官九郎の『季節のない街』、『離婚しようよ』など素晴らしい配信ドラマがたくさんあったりしたんだけど、『季節のない街』はDisney+なので、周囲で見ている人はまだまだ少ないんですよ。で、例えば去年、『silent』がなんであれほど話題になったかっていうと、やはり地上波で放送したからだと思うんですよ。TVerで見た人が多かったかもしれないけれど、やっぱりテレビっていくら視聴率が低くても、膨大な数の人が見てるわけです。特によくできていた初回を最初にたくさんの人が同時に見たことで話題になったっていうことは、絶対的にあると思います。
 それと、テレビっていうのは非常に民主的なメディアなんですよ。なんでかっていうと、民放は無料じゃないですか。テレビの受像器って安いものは安いし、それさえあれば誰でも見られますよね。だけど配信ってお金かかる。だから結局配信って格差社会なんですよ。授業で取り上げる作品って配信されているものを選ぶんだけど、必ずしも同じプラットフォームでは揃えられないので、そうすると履修する人たちも、結構負担になるわけじゃないですか。配信が始まったせいで、これまでのようにディスク化もされなくなってるんですよね。だから、前は例えば取り上げる番組のDVDを買って論系室に置いたりもしたけど、それも難しくなってきてるわけですね。だから、配信って格差社会的だと思ってるんですよ。地上波より自由度が高くていいコンテンツもたくさんあるし配信が悪いとは全然思ってないんだけど、万人に開かれてるわけではないっていうことは知っておいたほうがいいと思いますし、地上波のありがたみをもっとみんなで自覚した方がいいんじゃないかとは思ってるんですね。