アナタは知ってる? ベルマーク財団
「ベルマーク」憶えてますか?「久しぶり!」そんな方が大半でしょう。小学校でよくわからないけど集めていたベルマーク。そういえば何の役に立ってたの? 今のベルマークってどうなってるの? 今回はベルマーク教育助成財団の斎藤健一さんにお話を伺いました。
そもそもベルマークとは?
ベルマーク運動とは、学校がベルマークを集めることで点数に応じたお金に変換し、必要な設備やサービスを購入するシステムです。ベルマーク財団では各学校が集めたマークを集計し、それぞれの協賛会社へ請求を出して金銭を振り込んでもらっています。協賛会社がベルマークを商品に付けて販売し、集めたベルマークをお金に変換してくれるからこそベルマーク運動は成り立っています。
ベルマーク運動のはじまり
記者:ベルマーク運動はどのようにして始まったのでしょうか。
斎藤さん:ベルマーク運動は、僻地学校への支援から始まりました。戦後、僻地の学校はボロボロでした。当時は教育に投資する考えがなかったこと、学校が多すぎて手が回らなかったからです。全国の僻地で働く教員から備品不足を訴える声が高まり、1960年、朝日新聞社が財団を設立してベルマーク運動が始まりました。ベルマークによる購入額の1割が支援に回る仕組みです。
現在ではへき地支援に加えて災害の被災校や特別支援学校、さらにNGOを通じて海外の子どもたちも支援しています。また、運動参加校は備品以外に「ソフト事業」を買うことも可能です。
記者:モノだけじゃない、ベルマークのソフト事業とは何でしょうか?
斎藤さん:ベルマーク財団ではベルマークで交換できるものとして、「教育応援隊」と呼ばれる体験教室などを提供しています。2021年度は「オーサー・ビジット」「防災科学教室」「走り方・サッカー教室」「絵本を届ける運動」の4つのプログラムを実施しています。
記者:ソフト事業を行うことの意義についてどのようにお考えですか。
斎藤さん:ソフト事業は学校側のマークの使い道が増え、財団は活動の幅を広げられるという意味で大切なことだと考えます。ソフト事業を通して、子供たちには普段の日常から離れた経験をしてもらいたいです。知らない世界に触れることは、子供たちにとって良い刺激になると考えています。
記者:オーサー・ビジットとはどのような活動ですか。
斎藤さん:朝日新聞と共同でおこなっている、子供たちに人気の本の著者が各地の学校を訪問して特別授業をする活動です。人気でベルマークの顔になっていただけるような方に講師をお願いしています。
秋田県での落語家の柳家さん喬師匠の授業は印象に残っています。とても寒い体育館だったのですが、子供達が真剣に聞き入っているのを見て、プロの話しぶりは素晴らしいなと感動しました。
記者:ベルマークは集計が大変という話をよく耳にしますが、どのようにお考えでしょうか。
斎藤さん:大変ですね。財団でも手作業で数えています。この問題を解決するために研究しているのが、画像認識の技術を用いたマークの読み取りです。実現すれば、仕分け集計しなくても点数を出すことができるので、集める方の手間は一気に減るのですが、ビニール素材のベルマークは読み取りが難しいなどの課題があります。実用化へのめどはまだ立っていませんが、さらに研究を進めていきます。
「ベルマークは物的支援を行う」と思っていた方も多かったのではないでしょうか。今回のお話を通じてベルマークの違った支援の在り方に興味を持っていただければ何よりです。SDGsが叫ばれる時代だからこそ、ベルマークに新たな価値が発見できるのではないのでしょうか?