早稲田大学のお笑いサークルに所属する学生芸人を取材し、
活躍する彼らのありのままの姿に迫る連載企画です。
第三回のゲストは、早稲田大学お笑い工房LUDO23期のコンビ、ストロングブルジュニアの佐々木良樹さん(写真左)と丸山利明さん(写真右)。幼稚園からの幼馴染だったことをきっかけにコンビを組まれたお二人が、暗黒期を経て大学お笑いの賞レースを勝ち進むようになるまでの紆余曲折を伺いました。
初めて二人で漫才をしたのは小学三年生
ーお笑いを始められたきっかけは何ですか?
丸山:小学校が出し物大会でお笑いをやる変わったクラスで、そういう機会に時々二人でお笑いをしていました。
小3のときにお別れ会があって、そこで初めて桃太郎の漫才をして。だけど中高は、俺が立教の池袋、佐々木が新座に行って分かれちゃったんですよ。
俺は高2になって山口(伊織)という、今もだざいうちうっていうコンビ組んでるやつに誘われて、またお笑いを始めました。それで俺が池袋でやった(ネタの)動画が立教新座にも流れて。
それで佐々木が、「もし中高一緒に通ってたらお笑いやってたんだろうな」と言ったんです。じゃあ、大学で一緒にお笑いやろうと(自分が)誘って組んだ、って感じです。
ー子どもの頃からテレビではお笑い番組を見られていましたか?
丸山:良樹がめっちゃテレビっ子で、ずっと「アメトーーク」とか「ロンドンハーツ」を見てて、 俺はその情報を受け取ってました。今回のは面白かったって言われて録画したものを一緒に見たり。
ーその当時から今も含めて、好きな芸人さんはいらっしゃいますか?
佐々木:僕はザキヤマさんが昔から好きで、そういう風になりたいなと思ってました。でも、今は結局全然違う、なんも喋らないキャラでやっています(笑)
丸山:マジで「アメトーーク」と「ロンハー」の影響じゃん。
佐々木:そうだね。この2つの番組に出てる人が好きでした。有吉さんとか。
丸山:俺はネタを見るのが好きなので、ママタルトとマユリカですね。コンビで好きなのが、霜降り明星だったんで「霜降りみたいな漫才をしよう」って言って、良樹をめっちゃ動かすネタをやったら全然ダメで(笑)。でも、それをしばらく続けてて、そこから暗黒期が始まりました。
大スベりしたライブ。暗黒期を脱出するまで
―暗黒期、というのは具体的には……?
佐々木:ずっと変なことをしてたんですよ。鈴木福選手権っていうネタとか。
―(笑)
丸山:昔はネタ量産型だったんです。月に一人5本ずつ、二人で10本書いていました。
でもこの頃は、どのネタもウケなくて1回やっては「もう無理だ」とボツにして。とにかく暗黒期でしたね。
佐々木:鈴木福選手権は3回ぐらいやったよね。あの頃の僕らにとってはエース(笑)
丸山:エースじゃないって絶対! あのネタに思い入れないもん。……まあでも、エースだったのかもしれないです。
ーなるほど(笑)
丸山:あと、良樹がコント好きなのでコントをやったことがあるんですよ。そうしたら、(サークルの)ネタ見せで本当に死ぬほどスベって。空調の「ブォー」っていう音だけ聞こえるみたいな。
佐々木:グロかった。
丸山:本当にグロい。それで困って、ボケとツッコミを入れ替えることにしたんです。あと、ネタの後半も変えて(LUDOのライブで)やったら、5分だったネタが6分半になってしまって。もう空調の音すら聞こえない、真っ白な無重力世界になるぐらいスベった(笑)それが、前回ホットコーナーさんがおっしゃっていた(前回の記事はこちら!)話です。
―それはいつ頃のライブですか?
丸山:俺らがコンビ活動を始めたのが1年の10月なので、11月ぐらいですね。
―コンビ活動で一番辛かったのはやはりその時期ですか?
丸山:はい。大学芸会の2、3個前の定期ライブぐらいまでずっと辛かったですね。何をやっても結果が出なくて。
お笑いサークル連盟が企画・運営している大学お笑いの大会。2011年より開催され、現在、学生を対象としたお笑いイベントとしては日本一の規模となっている。(大学芸会 HPより )
佐々木:ネタを書いてたのに、それでも結果がついてこなくて。
丸山:そうだね。毎月10個ぐらい頑張って書いていたのに、結果が出ないのが一番きつかった。
―それでも、お二人がコンビを続けられた理由は何ですか?
佐々木:やっぱり自分の中で、途中でやめるのはかっこ悪いかなと思っていました。 「最後までやり通して結果出なかったら、それはそれだ」と。
丸山:逆に俺は、良樹に比べてずっと楽しかったんですよ。
佐々木:ふーん。
丸山:良樹は多分めっちゃきつかっただろうけど、俺はその試行錯誤してる期間も好きだったので、やめようというのは全く思ってなかった。
―では「やめたい」というのはお二人ともおっしゃっていないんですか?
佐々木・丸山:言ってないですね。
―その後、暗黒期から抜け出したのはいつ頃ですか?
佐々木:大学2年の6月ぐらいですかね。
丸山:そうだね。大学芸会前のLUDO定期ライブか、その1個前ぐらい。ナユタというコンビを組んでる小野原が「ストブルは変なネタをやりすぎだから、 もうちょっと普通のネタの方がいい」と言ってくれて。それをきっかけに霜降り明星を真似するスタイルを変えて、良樹が速いネタが合わないのもあってゆっくりにしました。あと、最初は良樹が感情のないボケで、俺のツッコミがめっちゃ強かったんですよね。そこで声量は変えずにツッコミを引く感じにしたら、いい塩梅になりました。真空ジェシカのガクさんみたいな。
佐々木:あと、10本作ってたときはお互いが1人で考えてたんですけど、2人で会話してた方がいいアイデアが思い浮かびやすいのでコンビで作るようになりました。
同期と遊んだ「青春」の軽井沢
ー反対に、コンビ活動で一番楽しかった思い出はありますか?
佐々木:結構直近なんですけど、池袋LUDO単独ライブ「軽井沢の風」です。「池袋LUDO」というのは、LUDOの中にある2年生(LUDO23期)の11人ユニットで。みんなとても仲良いです。
ー池袋LUDOで遊びに行かれますか?
丸山:行きますね。それこそ一番最初にみんなで遊んだのが、軽井沢。冬に行って、マジで寒かったです。
佐々木:11時ぐらいに出発して、2時ぐらいに着く予定だったんです。それが、乗ってたバスがトンネルで玉突き事故を起こして、4時間ぐらいずっとそこから身動き取れなくて。
丸山:窓パリパリで。それで二人ぐらい首がむち打ちになりました。
ーええ!
丸山:やっと着いた宿ではみんなでシャッフルコンビして。
ーやはり、ネタはされるんですね。
丸山:もうふざけて楽しんでましたね。夜はただ遊んで、それがメインみたいな感じで楽しかったです。
佐々木:そうやって遊んでたのがライブに繋がるっていうことが青春。
お二人それぞれにとってのストロングブルジュニア
ーここで、お二人別々にコンビのキャッチコピーをご記入いただけますか?
佐々木:うわー、考えてきた?
丸山:俺2つで悩んでるからどっちも書こう。現実と理想の2個で。
……できた! じゃあ、せーの!
丸山:おいー! お前、かっこよくなろうとしすぎだって(笑)
佐々木:逆にそっちはどういうこと? 俺しかいないじゃん。
丸山:俺は実際にこうだと思ってネタ作ってるんだよ(笑)
佐々木:えー。次行こう。せーの!
佐々木:俺はこれを理想としてやってる。
丸山:さっきと一緒じゃん(笑)
俺は両方のキャラクターが面白いっていう意味で。
佐々木:ママタルトみたいにね。あと霜降り明星も。目標のコンビは両方の個性が強いから。
―お2人のコンビでの目標を伺ってもよろしいでしょうか?
佐々木:大学芸会優勝ですね。
丸山:あとNOROSHIもね、優勝したいですね。
大学芸会が主催する、全国で一番面白いお笑いサークルを団体戦形式で決める大会。毎年2~3月頃に開催され、サークルを代表する学生芸人がチームを組み「漫才・コント・ピン」の3種目で競い合う。
(お笑いサークル団体戦 NOROSHIより)
佐々木:去年リヴァイアサンさんが二冠だったので憧れです。
丸山:そうだね。俺たちも頑張ります。
ストロングブルジュニアおすすめの学生芸人
―最後に、お二人が特に面白いと思う早稲田のお笑いサークル所属の学生芸人さんをご紹介いただけますか?
佐々木:LUDO21期のトリオの、ネオ悩殺パンクさんです。ロボットのネタがあって、俺はそれが一番好きです。めちゃめちゃ面白い。
丸山:ネオ悩殺パンクさんのインタビューはまだどこにも上がってないので、聞いてみたいですね。
第四回はストロングブルジュニアさんにご紹介いただいた「ネオ悩殺パンク」さんのインタビューです!続けてお楽しみください。
早稲田大学お笑い工房LUDO23期の丸山利明と佐々木良樹による幼馴染コンビ。
漫才を中心に活動している。
大学芸会個人戦2022では、敗者復活戦に進出する。
個人プロフィール
丸山利明
2002年5月30日生まれ。東京都豊島区出身。
立教池袋高校を卒業後、立教大学に入学。現在2年生。
佐々木良樹
2002年4月24日生まれ。群馬県沼田市出身。
立教新座高校を卒業後、立教大学に入学。現在2年生。
ほんの1時間お話を伺っただけでも、12年間の様々な経験で培われたお二人の仲の良さが伝わってくる取材だった。
佐々木さんの突拍子もないボケに対し、丸山さんがかなり語気強めにツッコむ場面も何度か見られた。しかし、それでも和やかな雰囲気のまま笑いに出来るのはお互いへの大きな信頼があってこそのことだろう。そのような唯一無二の関係性でありながら、ネタ作りやお笑いに誠実でストイックなお二人の姿は、取材員には既に「強×強」にも感じられた。
ストロングブルジュニアというコンビが今後さらに強烈な二つの個性を持った存在となっていく過程を、リアルタイムで追いかけられることが非常に嬉しく思う。
今後のライブ出演情報
『LUDO漫才選抜』
早稲田大学お笑い工房LUDOの選抜漫才師十数組がOBをゲストに迎えて行う漫才のみのライブ。
日時: 1月26日(木)開場18:45 開演19:00
会場:しもきたドーン
料金: 500円
詳細は下記のtigetページをご覧ください。
『NEW‼︎文理3』
日本大学文理学部落語研究会の学外ライブにゲストとしてご出演されます!
日時 1月22日(日)開場 18:45 開演 19:00
会場:中野vスタジオ
料金:無料
詳細は下記のtigetページをご覧ください。