第四回のゲストは、早稲田大学お笑い工房LUDO21期のトリオ、ネオ悩殺パンクの齋藤光宏さん(一番左)、松田浩司さん(中央)、武田直之さん(一番右)。卒業を間近に控える皆さんに、大学お笑いとともに過ごした4年間での経験やサークルへの思いを伺いました。
紆余曲折の末にLUDOへ集まった3人
ー学生芸人として活動を始めたきっかけは何ですか?
齋藤:中高の頃からお笑いは人並みに好きでした。実は現役で別の大学に入ったんですが合わなくて、再受験しようと思い立って2年かけて早稲田大学に入りました。先に大学お笑いを始めていた高校の同級生が「LUDOがいいよ」と教えてくれて、新歓ライブも面白かったのでLUDOに入ることを決めました。
武田:中学生ぐらいからずっとお笑いが好きで。たまたま有名になる前の真空ジェシカを見てめっちゃ面白いなーと思って、そこから大学お笑いを知りました。せっかく大学に行くならお笑いサークルに入りたいなと思って、LUDOが一番大きくて楽しそうだったので入りました。
松田:僕も子供のころからお笑い見るのは好きで。高校生くらいに見たNOROSHI2016~18の動画で、青山学院大学「ナショグルお笑い愛好会」のペコリーノっていうコンビが出てきて。「大学生でこんなに面白いことできるんだ」とちょっと感銘を受けて、大学ではお笑いサークルに入ろうかなという感じでした。そしてこれは受験の話になってしまうんですけど……。
「全国お笑いサークル団体戦 NOROSHI」
大学芸会が主催する、全国で一番面白いお笑いサークルを団体戦形式で決める大会。毎年2~3月頃に開催され、サークルを代表する学生芸人がチームを組み「漫才・コント・ピン」の3種目で競い合う。(お笑いサークル団体戦 NOROSHIより)
齋藤・武田:(笑)
松田:一浪して早稲田に入ったんですけど、現役で同志社大学に合格していて。同志社に入学するつもりだったんですけど、親が入学金を払い忘れちゃって。
ー!?
松田:入学前課題も全部やって、同志社の喜劇研究会に入ろうかな~とかワクワクしていたのに、浪人することになって。最終的に早稲田に来たので、もともと知ってたLUDOに入りました。
雑談が9割のネタ合わせ
―それでは、トリオを結成されるまでの経緯を教えていただけますか?
齋藤:まず、僕と松田と武田が普通に仲良かったんです。それで、元々僕と松田で「悩殺パンク」というコンビを組んでライブにちょっと出ていて。
松田:それと同時に、僕と武田で「逆撫」というコンビも組んでいました。両方サブコンビのような形でしたけど。
松田:3年の夏に、3人で新宿にストレッチーズさんのライブを観に行きました。帰りに居酒屋に行ったんですけど、それが早稲田祭の数ヶ月前で。早稲田祭では普段やっていないコンビも沢山出られるので、そこで「ちょっと3人でもやってみるか」という話をしたのがきっかけです。
武田:3人で旅行にも行っていたので、あまり「結成する」という感じはなかったですね。
―かなり仲良しなんですね! トリオのネタ作りも皆さんでしているんですか?
齋藤:そうですね。3人でやっています。
―そのなかで、ネタの内容や方向性について揉めたことはありますか?
武田:内容で揉めることはないね。
松田:3人のうち誰かが言って皆が笑ったものを選んでいるので、揉めることはあまりないです。意見が食い違うこともたまにありますけど、他の2人があんまり笑ってないのを見て自然とやめます。
齋藤:いいネタのときは皆「面白い!面白い!」という感じで自然と盛り上がってくるので。満場一致で面白いとなる案が出るまで粘ります。その分ネタ合わせがかなり長引きますね。
―1つのネタを作るのにどのくらいの時間をかけますか?
松田:ネタ合わせは大抵部室に集まってやるんですけど、最初に雑談してる時間が6,7時間ぐらいあって、そこからスタートするので(笑)
齋藤:6時間喋って30分ネタ合わせして帰る。マジで意味ないです。
松田:ライブの前日か当日じゃないとスイッチ入れられなくて。ライブ1週間前に集まったときは本当に雑談で一日潰して、30分だけ「こういう感じにするか」みたいなことを話します。それで、前日か当日に頭抱えるみたいな。
齋藤:というのを、ここ一年ずっと繰り返してました。
―(笑)会うたびに6,7時間雑談をされていて、話すことは尽きないんですか……?
齋藤:(笑)これが尽きないんですよ! なんでだ?
松田:やっぱりLUDOは300人ぐらいいるので、色んなヤツが色んな話題を提供してくれるんです。
齋藤:個性豊かな人が集まってきているので。
武田:あと、部室にいると色んな人が入れ替わり立ち替わり来るんです。たとえば、3人で3時間話して「よし、そろそろネタやるか」と思ったらもう1人来て、面白い話を持ってくる。
齋藤:「聞きました!?」みたいな。
松田:多分、部室でやってるのがまずい。
齋藤:あと、話すことがないときは歌を歌ったりとかね。本当に(ネタを)書きたくないんでしょうね。
松田:ネタ作りたくないからわざとどうでもいい話をしたり。僕、LUDOのゴシップをめちゃめちゃ集めてるんですけど、ネタ作りしなきゃいけない流れになったときには、「本当に人に言うな」と言われたやつを話してます。
齋藤:松田は一番他人の秘密を言うと言われています。
ートリオの活動で、1番嬉しかった出来事はありますか?
齋藤:3年の11月にネオ悩を結成して、その冬にNOROSHIに出場しました。僕はそれまで大会で結果を出したことがなくて。でもそのとき、ネオ悩がすごくウケて、準決勝まで出られて嬉しかったです。
武田:NOROSHIに出る前は、周りの同期に結果出してるやつが多くて。腐ってたじゃないですけど、その分、僕らがちゃんとウケて、敗者復活戦から準決勝に出られて嬉しかったです。
ー今すごく活躍されているので、想像がつきません。
松田:ただ、大会では夏も冬も負けていて……。
齋藤:大会だけあんまり振るわないんです。たとえば、4年生夏の大学芸会のときに、ネタの小道具で「第三の目」を使ったんです。かぶってるヘルメットを取ったら第三の目がついてるみたいな。結構練習したんですけど、本番で松田が第三の目を紛失して。ネタやってるときにふと見たら、松田が絶望の表情をしていました。
お笑いサークル連盟が企画・運営している大学お笑いの大会。2011年より開催され、現在、学生を対象としたお笑いイベントとしては日本一の規模となっている。(大学芸会 HPより )
ー(笑)
松田:机の上に置いておいたのに、明転したら消えていて。狼狽しました。
ー結局どうしたんですか……?
齋藤:スペアの目を使いました。でも、粘着テープがついてなかったので、押さえてた手を離した瞬間にペラペラって落ちちゃって。客席のほうから「ハァッ」って聞こえました(笑)
松田:そこまでは結構ウケてたんで、ちょっと夏は不完全燃焼というか。
4年冬のNOROSHIは強いメンバーと組んで、やり切ったんで。NOROSHIから帰るときが一番悔しかったです。
武田:今年はもう「絶対いける、負けるわけねえ」と思ってたんで。悔しかったですね。
ネオ悩殺パンクのキャッチコピー
―ここで、皆さんが考えるネオ悩殺パンクのキャッチコピーをそれぞれご記入いただけますか?
武田:自分達につけるとしたら、ということですよね。
―そうですね。
齋藤:……あ、僕思いつきました。
松田:僕もできました。
―では一斉にお願いします!
齋藤:「バカすぐるwww」
武田:めっちゃ近い。「バカ」だけ書きました(笑)
松田:僕全然違うんですけど、これ(「バカ」)を書こうと思ってやめました。「被害者×被害者×被害者」。
一同:(笑)
松田:全員負け顔が面白い、みたいな意味です。特に武田が一番上手いんですけど、あたふたしている様子が全員ハマっていると思うので。
武田:僕の役は真面目に見えてめっちゃバカなんですよ。
松田:ネタの中で辻褄を合わせなきゃいけないときに、他の人は台本で上手くやったりしますけど、僕らは武田をめっちゃバカな役にすることで辻褄を合わせています。
齋藤:ネタの状況を成り立たせるために、武田の役の知能をものすごく落としています。さすがに「バカすぐるwww」ですね。
「LUDOが命綱」だった四年間
―学業と大学お笑いの両立のコツはありますか?
武田:僕は大学お笑いで忙しかったのは4年だけで、それまでは学業がメインでした。4年生は授業をほぼ取りきっていて週1も行かないぐらいだったので、お笑いがあっても大丈夫でした。
松田:単位はちゃんと取れたんですけど、友達が大学4年間でサークル以外では一人も出来なかったので。大学生活での後悔じゃないですけど、LUDOの人としかつるんでないなと。
齋藤 : LUDOは命綱ですね。
松田 : LUDOが無かったら、大学を辞めていたかもしれないです。
―大学お笑いに興味がある人にメッセージをお願いします。
武田 : 今は(LUDO以外の)色々なサークルでお笑いができます。ただ、LUDOは合宿があるし、人数も多いので馴染みやすいと思います。相方も組みやすいですし。色々挑戦できるという意味でも、LUDOはおすすめですね。
齋藤 : サークル活動をしながらも、学業は大事にしてください。
松田:ノーリスクでお笑いができるのは大学生の時だけなので、楽しんでほしいです。4年間何も考えずにお笑いが出来るという意味ではとても良い場所だと思います。
おすすめの学生芸人
―最後に、皆さんが今面白いと思う、早稲田大学のお笑いサークル所属の学生芸人を教えてください。
齋藤 : 新4年生だと、クラシキ。というか、来年度からはクラシキとはぐれポプラが合体するので照山おうちごはんですね。
松田 : ワンウィーク。女性のコンビで新3年生なんですけど、めちゃくちゃ面白いですね。
武田 : 同じく新3年生の煉炭貴族。かなり実力派です。
齋藤 :あと新4年生の放電。NOROSHI2023では準決勝まで進んで、結果を出していて。
松田 : 惹女香花は本当にすごい。
齋藤 : もう半分プロみたいな感じ。
武田 : 友田オレもそうなんですけど、俺らが戦ってるステージじゃない。
齋藤 : 1年生からも出しなよ。
武田 : 1年生だと、謝謝熱波の宮田。来年良い感じになると思うので。
松田 : あとは、スルメイカ刺し。
武田 : いやいい、それは(笑)
齋藤 : 言いたいだけじゃん。
松田 : でも、みんな頑張ってますね。1年生のときは俺らも全然だったので、頑張れば結果は出せます。頑張ってほしいですね。
第五回はネオ悩殺パンクさんにご紹介いただいた「ワンウィーク」さんのインタビューです!続けてお楽しみください。
早稲田大学お笑い工房LUDO21期の齋藤光宏・松田浩司・武田直之によるトリオ。コントを行う。NOROSHI2023では、「チームミシガン」として準決勝に進出した。
武田直之
2000年3月24日生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業後、早稲田大学に入学。現在4年生。早稲田大学お笑い工房LUDO21期。
松田浩司
1999年9月16日生まれ。東京都杉並区出身。桐朋高等学校を卒業後、早稲田大学に入学。現在4年生。早稲田大学お笑い工房LUDO21期。
齋藤光宏
1998年7月7日生まれ。長野県出身。長野県立諏訪清陵高等学校を卒業後、早稲田大学に入学。現在4年生。早稲田大学お笑い工房LUDO21期。