早稲田大学のお笑いサークルに所属する学生芸人を取材し、
活躍する彼らのありのままの姿に迫る連載企画です。
プロを見据えて学生芸人を始めた3人
—皆さんが学生芸人を始めようと思ったきっかけは何ですか?
大竹:僕は高校がGパンパンダさんと一緒なんです。大学に入ってお笑いをやろうと思っていたので、(LUDOは)インカレだし高校の先輩がいるということで。
あと金山がいるというのも聞いてたので、LUDOに入ろうかなと。
金山:これは嘘ですね。
—(笑)
大竹:僕が高3のときに、テレビやラランドさんの YouTube で学生芸人という言葉を見ていました。
「プロにならずに 1 回お笑いができるな」と思って入りましたね。
金山:僕は高校のときからお笑いをやっていて、「ハイスクールマンザイ」という大会やライブにも出ていたんです。その頃から「お笑いでプロになろうかな」と思っていたんですけど、直でプロ入りする勇気がなくて。
そのときにちょうど大学でお笑いをやっている人達とライブで一緒になって、「LUDOはいいよ」と教えてもらいました。そこからめっちゃ頑張って勉強して早稲田大学に入ったんですけど、LUDOはインカレでしたね。
大竹:勉強を頑張る必要なかった。
外薗:僕は小学生の頃にお笑いクラブに入っていました。そこで芸人の真似をしてコントをやったのが、ドカドカウケて。めちゃくちゃ楽しいな、お笑いやりたいなって思ってたんですけど、中高に入ってからは演劇に目覚めました。それで「俺役者になりたいな」と思って。ずっと舞台で何かをやることは好きでしたね。
それで大学に入ったときにお笑いサークルがあって、「小学生のときの楽しみを思い出せるんじゃないか」と思って。僕は明治大学に通ってるので、明治大学の木曜会 Z に入りました。そうしたら、コロナの影響でLUDOが全然活動していなかったので金山と大竹が(木曜会Zに)入ってきたんですよ。
金山:僕らがお笑いサークルに2個入ってるんですよね、LUDOと木曜会Z。
外薗:そこで金山と組むことになって、どうせならということで僕もLUDOに入りました。
—ありがとうございます。昔から色々な舞台に立つことを楽しんでこられたんですね。
外薗:そうですね。野村萬斎さんにめっちゃ憧れてて。
幼稚園生の頃、狂言に結構ハマってたんです。みんながクラスで積み木とかで遊んでるとき、覚えてないんですけど自分は一人で廊下で狂言をやってたらしくて。今考えたらすごい変な人だなって思うんですけど。
金山:その狂言、今ちょっとお願いできる?
外薗:ああ、いけるよ。
金山:……という感じの。
—ありがとうございます(笑)
金山:狂言って古来から人を笑わせるためにあったと言われていますけど、俺は外薗を見て本当にそうなんだと思いました。「おもしれえもんな、こんな変な声出してるやつ」って。
大竹:内容とかではないの?
金山:池に足入れるだけだから。
コンビからトリオへ
ートリオ結成の経緯を教えてください。
大竹:もともと4人だったんですけど1人産休に入っちゃって、戻ってくるまで3人で頑張ろうっていう……。
金山:それぼる塾ね。
金山:僕が(外薗と)はぐれポプラ、(大竹と)クラシキという2つのコンビを組んでいたんです。プロに行くと決めていたので、どっちで行くか決めないといけないなと思ったときに、よく言えばどっちでもいいし悪く言えばどっちと組んでも売れないだろうなと思いまして。
3人だったら、トリオの漫才というのが少ないので上手くいくかと思って、3年生のときに合体という形を採りました。
大竹:こんな風に言ってますけど、最初は「トリオの漫才は違う、コントをやろう」と言ってました。
金山:今もコントやればいいと思ってるよ。
ートリオ名の由来などがあれば伺えますか?
大竹:最初は試しにユニットみたいな形で組んだんですよ。だから正直トリオ名はどうでもよくて。1個下の後輩のバーズが一番ダサいトリオ名を考えようというのをやってくれて、1位が照山おうちごはんだったのでそれをもらったという感じです(笑)
金山:まあトリオ名どうでもよかったんで(笑)、多分変えると思います。周りからかっこよくなさすぎると反対されるので。
ー他の方はどのようにお考えですか?
外薗:変えたほうがいいなとは思っています。照山おうちごはんは学祭のユニットのような即席感があるので。
大竹:いや、ぼくは意地でもこのままの方がいいと思っていますよ。
金山:(大竹が)LINEの次のトリオ名を決めるノートで一番案出してますけどね(笑)
大竹:見たものそのまま書いてるだけだから。サウナ行ったときにロウリュって加えたりとか。
楽しい思い出もつらい思い出も全てライブにある
—トリオの活動で楽しいことや大変なことはありますか?
大竹:5月頃にトリオの活動を始めたので、トリオで参加したLUDOのイベントがまだそんなになくて。
金山:大隈記念講堂ライブはあったけどね。全然ウケなくて、信じられないくらい楽しくなかった。
早稲田大学お笑い工房LUDOが毎年7月に開催するライブ。出演者には、その1年間に大会やサークルで特に活躍したLUDO所属の芸人が選ばれる。
大竹:直前までネタを何にするかで揉めたし。でも舞台に立てたことは嬉しかったな。惹女香花とか友田オレがいる中でトリだったし。
外薗:僕は先輩とパンケーキを食べに行ったこととか。
金山:それトリオの活動じゃねえよ、個人の活動じゃん。そんなこと言ったら俺だって藤子・F・不二雄ミュージアム行ったのが楽しかったよ。
ー(笑)
大竹:あとは、レジスタリーグライブでしょうか。これは楽しいですよ。会場に着いてから出るまで、会う人会う人みんなメラメラしてます。
お笑いライブ制作会社「KーPRO」が毎月開催している、16歳~22歳の芸人によるバトルライブ。照山おうちごはんは現在、Bリーグに所属している。
大竹:結果発表のときに「優勝は、○○!」って呼ばれるんですよ。ここで自分たちのコンビ名が呼ばれたときがその月で一番嬉しい瞬間になることが多いですね、やっぱり。
外薗:M ー1の1回戦通ったの、めっちゃ嬉しいな。
大竹:最初に言えばよかった! 嬉しかったね。
ーおめでとうございます!私たちの中でも話題になっておりました。
金山:1 回戦は去年、はぐれポプラ(金山・外薗)では通ったけど2回戦が全然ウケなくて。
今年は2回戦に上がれたら本当に嬉しいなって感じですね。
大会で勝ったときと良いライブ出てウケたときがやっぱり嬉しいです。浴衣で船乗って飯食うみたいな(サークルの)イベントより、さすがにライブ出てウケたときが一番楽しいですね。
ーいわゆる大学生っぽいイベントよりも、やはりお笑いの方が楽しいですか?
金山:それはもちろん、こっちのが青春ですから。
ー反対に、やっていてしんどかったことや苦しかったことがあれば教えてください。
大竹:ライブで負けたとき、ウケないときに結構僕がくらっちゃうんですよね。
高校生の頃サッカーをやっていたのもあって、ちょっと体育会系ではあります。6月も大会で負けて、そのときは鼻血止まんなくなっちゃったりとか。
金山:でも結果は結果で、とりあえず“ネタを綺麗にする”ことを意識してほしいみたいなことをいつも言っています。
ー金山さんはいかがですか?
金山:僕は高校生の頃お笑いがつらかったんで、今はそのときに比べたら楽しいですね。3年間スベり続けていたので。
みんなが「こいつはお笑いをやってる」って目で見てくるから、なんか面白いことしなきゃいけないと思って、でも面白いことできなくて、ハードルも上がって、みたいな。LUDOに入るためにと言って勉強を始めたけど、お笑いをやりたくないからちょっと勉強に逃げてました。
でも、今は周りの人全員がお笑いやってる人達で、そういう目で見てこないからすごく楽しいですね。
大竹:いや、これお笑いサークルってすごいよね。
金山:「面白いことやってよ」って言われたとしても、そいつも面白いことやってくれるし。
大竹:みんなが面白いことをしようとしている環境はすごいですね。
3人が考える照山おうちごはんのキャッチコピー
ーここで皆さんが考える照山おうちごはんのキャッチコピーをご記入いただけますか?
大竹:これ示し合わせなくても全く同じ気がする。
ーでは一斉にお願いします!
金山・大竹:(外薗さんに対して)それは目標じゃん(笑)
金山:3人とも全く違う人間っていうのはトリオで珍しいかなと思うので。これは推していきたいところですね。
外薗:僕は初のトリオでMー1優勝を目指してます。
金山:いやだから「目指してます」って目標じゃん(笑)
大竹:僕はネタ合わせで笑うって大事かなと。感情入れずにネタ合わせしだしたら良くないと思うので。
ートリオとしての目標はなんですか?
外薗:僕はMー1優勝ですね。
金山・大竹:だから(キャッチコピーじゃなくて)目標じゃん(笑)
大竹:長い目で見た目標は、ロケに行ってみたいというのと、ガヤをいれていくようなテレビ番組に出たいですね。近いうちの目標は、ライブ全笑(勝)で。「勝つ」と「笑う」で掛けて。
金山:僕はラジオをやってみたくて。本当に三者三様ですね、いつかバラバラになってしまうかもしれません(笑)
大学生活も「三者三様」
―学生芸人の活動と大学生活の両立のコツはありますか?
金山:彼(大竹)は一切してないです。こういうインタビューで初の「一切(両立)してない」。
大竹:もともとは歯科大学に通っていて、お笑いが好きな友達がいなかったので家帰ってひたすらバラエティを見続けるという生活をして。
今は、あまり行ってないですけど通信制の大学に。大学に行かないでLUDOだけ行くという生活です。
なので、大学に行ってない僕と一緒にライブに出れる金山が信じられなくて。
金山:僕は本当にすごくて。フル単です。1個も落としてない。
大竹:絶対真似できない。
外薗:えぇ~すげえ。あんなにライブ出てて。
金山:文学部なのもあるかもしれないですが、授業に出れば(単位)来るじゃないですか、多分。
コツと言っても……。でも、好きなことっていうのはあります。
演劇映像コースの演劇系に所属してて、落語とか狂言、歌舞伎とか映画も好きで。授業も面白くて。
好きな授業受けて好きなお笑いやってるんで。つらいこともないです。
外薗:僕はフル単ではないですが、あと数単位なので卒業はできます。
ー忙しい中で頑張るための工夫はありますか?
外薗:何か苦しいことがあれば、すぐカラオケでたくさん歌うっていうのはありますね。
大竹・金山:(笑)
外薗:高校生の頃は嫌なことがあったら、自転車に乗りながら友達と一緒に大声で歌いながら帰るっていう。それが良かった。大学生になってこれができなくなったのが本当に嫌です。
金山:家に自転車あるんだからやればいいじゃん。
外薗:いやでも、電車通学だから……。電車で歌うわけにはいかないし、代わりの手段としてカラオケで発散できるって思って。
金山:全然関係ないですけど。こいつ(外薗)めっちゃ音楽好きなのに、大学3年までイヤホン持ってなかったんですよね。耳にスマホのスピーカーの部分を当てて曲を聴いてた。めっちゃ怖かった。
外薗:まあ別にいいかなと思って……。
ー金山さんはお忙しい中しっかり授業も出ていると仰っていましたが、スケジュールなど工夫されていることはありますか?
金山:2人が午前中に弱いんですよ。だから僕は早い時間に授業や他の予定を全部入れてます。
大竹:何回か一緒に泊まったことあるんですけど、6時とか7時に起きて活動してる。
金山:2,3,4限に授業を全部入れて、ライブが入っても授業に出られるようにしてます。
ー全大学生に見習ってほしい生活習慣です!(笑)
金山:起きるの苦手な人は、遅い時間に授業入れたほうがいいと思いますけどね(笑)
おすすめの学生芸人
ー皆さんが面白いと思う、おすすめの学生芸人を教えてください。
大竹:やっぱり惹女香花は面白いですね。
金山:ゲッターラブは掘れば掘るほど面白い人達です。
大竹:フルメタルドッグはラジオで本気の喧嘩を流しちゃったりするような、2人の関係性から来る普段の喋りが面白いです。
金山:トドロキは1年生なんですけど漫才がめっちゃ上手で、ネタが仕上がってます。煉炭貴族は“男”って感じで面白いです。
大竹:あとはイタリアボーイの話を1分だけ聞いてほしいです。彼は1分で勝負つけられる男なので(笑)
第七回は照山おうちごはんさんにご紹介いただいたゲッターラブさんのインタビューです!お楽しみに!
8月に開催された大学芸会では敗者復活戦に進出し、9月に行われた早稲田大学お笑い工房LUDOの25周年ライブにも出演した。
個人プロフィール
金山
2001年6月19日生まれ。神奈川県出身。東京都市大学附属高校卒、早稲田大学に在学中。早稲田大学お笑い工房LUDO22期、明治大学お笑いサークル木曜会Z所属。
ほかぞの
2002年2月22日生まれ。鹿児島県出身。川内高校卒、明治大学に在学中。早稲田大学お笑い工房LUDO22期、明治大学お笑いサークル木曜会Z所属。
YO竹
2001年6月25日生まれ。東京都出身。筑波大学附属高校卒、放送大学に在学中。早稲田大学お笑い工房LUDO22期、明治大学お笑いサークル木曜会Z所属。
YouTubeチャンネルはこちら!
今後のライブ出演情報
『おくればせ VS スプーンどこいった』
日時:10月11日(水)開場18:15 開演18:30
会場:早稲田小劇場どらま館
料金: 500円
詳細は下記のTIGETページをご覧ください。
『照山おうちごはん no 寄席』
日時:2024年1月7日(日)19:00~20:30予定
会場:阿佐ヶ谷アートスペースプロット
料金:未定
詳細が決まり次第、下記Xアカウントより随時お知らせいたします。