高円寺のシンボル、小杉湯を盛り上げる!
BUKUBUKUって一体何者?【2期編】
“ちあき”さん・“森か”さんに、BUKUBUKUに入った理由や、活動を終えた今後の展望などについてお話を伺った。
――BUKUBUKUに応募したきっかけを教えてください。
ちあき:銭湯って色々な人がいるじゃないですか。小杉湯に来る人の中でも、古着を探しに全然違う地域から高円寺に来た人、その中でもフリフリな服が好き、ロックな服が好き……とか。そういう異質性を持った人たちが同じお風呂に入っているのが面白いなと思って興味を持ったのがきっかけです。
森か:高校生のときに銭湯にはまっていた兄と銭湯巡りをしたことです。小杉湯は他の銭湯より綺麗で、セレクトショップのようなコーナーがあることやポップが充実していることに衝撃を受けて。「そりゃ有名になるわ」と。実は大学も、小杉湯のある高円寺を定期圏内に入れたくて早稲田を選んだんですよね。
――小杉湯と関わる方法としてなぜBUKUBUKUを選んだのですか?
ちあき:BUKUBUKU以外の関わり方が分からなかったからです。当時はアルバイトの募集はなかったし、BUKUBUKUは学生団体だから、今しかできないと思ったんですよね。活動内容に企画やコラボが多いので、人と人との繋がりを形成する活動に関わりたいという気持ちもありました。
森か:大学1・2年生のときに早稲田祭運営スタッフのデザインチームに入っていたんですけど、3年生になると管理職的な立ち位置になってしまうので、他に何か自分でものを作れる場所がないか考えていたからです。自分のスキルアップにもなるので。
――普段の学生生活では、どのようなことに興味を持っていますか?
ちあき:大学で社会学を専攻しているんですけど、私の軸は家族社会学にあって。家族の形の変化には、コミュニティの変遷が大きな軸にあるんです。
高円寺や小杉湯は、コミュニティを重視していますよね。コミュニティって、おのずと発生するもので、作るものじゃないっていうのが一般的な認識で。だけど現存のコミュニティって、もはや存在しているとは言えないのでは?っていう状態なんです。そのうえで小杉湯と、それを取り巻くコミュニティがどのように機能しているのか考えるのがすごく楽しくて。高円寺における小杉湯を媒介したご近所づきあいとか、普通の生活ではあまりないことだと思って、その尊さを感じて生きています。
番台をやっているときに、お客さんがお話ししているのを聞くだけでほっこりします。たまに(お話に)参加するだけで安心するし、心の支えになっています。社会学的には、意図的に作ったものって「コミュニティ」じゃなくて「アソシエーション」になってしまいます。今は「アソシエーション」しか作れないので、どれだけ「コミュニティ」らしく見せるかが争点だなって考えていて、そのヒントが小杉湯で得られるんじゃないかと思っています。
森か:普段の学生生活では、早稲田祭運営スタッフでデザインをやったり、ミュージカルサークルに入ったり、歌が好きで早稲田大学グリークラブ(合唱サークル)に入ったりしています。
大学では総合機械工学科に所属していて、研究室でロボット作っています。将来おもちゃメーカーに入りたいというのが最初にあるからです。「子ども」っていう存在が好きというより、どんな人でもいつだって子どもになれる、その瞬間・感情が好きだったんです。自分が(おもちゃを)作るなら、ただ作るんじゃなくて「見え方」までも考えないとって思って、早稲田祭運営スタッフに入ってデザインを学んだりとか。その延長線上にBUKUBUKUがありますね。
ミュージカルもデザインも合唱も、ただ個を表現するわけじゃなくて、伝えたいものがもともとあって「何かを伝える」という部分を大事にしていて。たとえば、ミュージカルだったらどうすれば観客から顔がよく見えるか考えたり。自分がやりたいようにやるわけじゃなくて、気遣いをするようにしています。
――「好き」がハッキリしていて、素敵だなと思いました。
――1年間を振り返ってみて、活動を一言で表すと?
ちあき:一言って難しいですけど、一貫してやっていたのは「決まっていることを疑うこと」。小杉湯に馴染めるか、2期だからできることは何かを考えることが必要で、結構悩みましたね。2期は1期と違ってストーリーもなくポンと仕事を渡された感じで。福島の農家さん(※)との関わりもなかったし。でも、それを通して新しい発見もありました。自分だけだと同じようなことしか考えられないけど、色々な人が集まっているので、他にもたくさん解釈があるんだなと分かりましたね。
森か:ざっくり言うと「成長と困難」かな。最初は1期がやっていた企画をいきなり引き継いで、自分が好きだからというより、やらないとお風呂が埋まらないからという気持ちで他のお店の方とやりとりすることが多かったんです。でも、高円寺でずっと昔から営業しているお店とコラボしたときに「小杉湯とコラボするとこんなメリットがありますよ」という利益ベースで言いに行っても全然相手に刺さらなくて。やっぱり相手へのリスペクトと「好き」の熱量を伝えるのが大事なんですよね。これはすべてのことに言えると思います。これが「成長」の部分。
「困難」は、1期がやりたいことを基に突き進むだけだった一方で、2期は指示されることが多くて。でも急に「好きなことやっていいよ」と投げられてあたふたしたことも。モチベーションが上がらない期間もすごく長かったんです。1期はうまくいったけど2期はうまくいかないみたいな。
こういうモヤモヤした気持ちはすべて消化できてるわけじゃないけど、悪かったことは今後にしっかり引き継いでいこうと思っています。まあ、自分は何もできてないと思ってたけど、こうやって振り返るとすこしは貢献できたのかな。
ちあき:悩むのが2期の仕事だったような気がする。
森か:いつまで経っても満足しないみたいなね。
ちあき:3期や4期がちょっと羨ましいなとは思います(笑)。
(※)福島の農家さん:小杉湯では福島の生産者を支援する「東の食の会」とコラボし、年に一度“福島プライド”の湯を実施している。BUKUBUKUはその湯の主催を任されており、毎年福島研修として、現地の生産者を訪問している。
――将来なりたい理想像はありますか。
ちあき:BUKUBUKUを通して考えたのは、小杉湯には色々な考えの人が居て、自分の考えが絶対正しいわけじゃないってこと。色々な角度から捉え直すことは必要だし、面白い作業だなとずっと1年間考えていました。1つのことに偏らず、広い視野を持てるように、柔軟な人間になりたいです。
森か:私は機械系の勉強をしていて、大学院に進むんですけど、自分で作り出すというよりは、誰かが作ったものを届ける役割をしたいなと思います。そういう点で、色々な経験をさせてもらえました。グラフィックなどを今までやってきたけれど、どちらかというと直接人と関わることに興味があります。人とコミュニケーションを通して、誰かの思いを伝えていける人になりたいなと思います。
ーーありがとうございます! 最後に、お二人にとってBUKUBUKUがどんな存在かを、一言で教えてください。
――ありがとうございました!