小杉湯を盛り上げる!
BUKUBUKUって
一体何者?【生みの親編】
――まずは、BUKUBUKU立ち上げの経緯について教えてください。1期に取材したところ、「佑介さんの鶴の一声だ」という話が出ていましたが……?
その通りですね。BUKUBUKUの立ち上げには、2021年の緊急事態宣言が影響しています。当時はサウナやスーパー銭湯などの公衆浴場は休業になっていました。でも、一般公衆浴場である銭湯には、休業要請がかからなかったんですよね。やっぱり、家にお風呂がなかったり銭湯が生活の一部になっていたりする方がいることが背景にはあって。お客さんは、それまでの約6割になりました。でも逆に、6割ものお客さんにとって日常の居場所になっているんだなと気づけたんですよね。
そんなときに、(BUKUBUKU1期生である)いっくんが小杉湯に来たんです。なんでも、中野にある銭湯のおじいちゃんに、跡を継がないかと打診されているとかで、真剣に検討していますって。そのとき、いっくんは1年間休学をすると言っていたので「だったら、小杉湯で働きながら銭湯業界のことを知って、1年後に考えたらいいじゃん」という話で、いっくんが小杉湯で初めての学生インターンになりました。
そして、いっくんという学生の大切な1年間を預かるなら相応の責任を果たさないといけないと考えたときに、一人でやらせるのは勿体無いと思うようになりました。小杉湯はもともと学生のアルバイトが多くて、しかも高円寺に住んでいる子が多かったんですよ。そして、緊急事態宣言中で大学もサークルも休みになった学生たちにとっては、アルバイト先の小杉湯が居場所になっていることを強く感じました。人とゆるやかな繋がりを求めて小杉湯でバイトをしている子が多かったんです。そこでその子たちに声をかけたら、やりたいと言ってくれて。だから「もうまとめて学生インターンにしてしまえ!」という形で結成しました。
――現在3期目を迎えているBUKUBUKUですが、これまでの活動を踏まえてどのように感じていますか?
実際、1期は一人も欠けることなく卒業を迎えて、2期の採用を1期が行って、2期が生まれて、今は3期。小杉湯がこれまで90年続いてきて、今後100年続けていくという過程の中で、1代目、2代目というように継承されていくのがとても大切なんです。特に代々当主を受け継いでいる平松家だけではなく、小杉湯の中でさまざまな形の継承が生まれることが必要で、BUKUBUKUが継承されていくことも、これから100年続く銭湯を作るうえでとても重要だと思いました。3期まで続いたら、なんか4期もある気がしてくる。この継承という、続いていく形がすごく良いなって感じています。
今後新しいことをするとすれば、1期、2期、3期が代の壁を越えて交わった企画ができると面白いなと思います。
――ありがとうございました。
検証企画! 小杉湯の朝と夜
【実際に入ってみた! 朝と夜のお風呂感想レポ】
朝湯
- 1日を長く過ごせるような特別感があります。朝早くから人と会ったり、熱いお湯に浸かってジェットを受けたりするのは休日の朝にしては刺激が強いですが、1日が活動的になる気がします。
- 良さは、比較的空いているのでゆっくりお風呂を楽しめることです。至るところにある掲示物を見たり、常連で毎日顔を合わせているおばあちゃんたちのやり取りを聞いたりしていると、色々なことを忘れることができます。
- 朝湯の良さは常連さんが多いからこその温かい雰囲気だと思います。お風呂に入る順番を教えてくれる方、「そこ濡れてるから気をつけな!」と脱衣所の床を拭いてくれる方がいて、とても優しい気持ちになりました。
夜湯
- 人が多かったのですが、みんな譲り合って入っていました。私が水風呂に入ろうとしたとき、先に入っていた外国人のお客さんがにこっと笑って場所を譲ってくれたのが嬉しかったです。
- 良さは、なんといっても1日の疲れを癒せるところです! 学校帰り、仕事帰り、お出かけの帰り、どんなシチュエーションでも安らぎが得られます。家に帰ったらあとは寝るだけなのも最高です。
【マス研員の思う、小杉湯のいいところ】
- 待合室の雰囲気! 解放感と落ち着きがある! 壁には月替わりのギャラリー展示があり、紹介されている本や絵を見たり、漫画を読んだりできるのが最高!
- お風呂の中! 落ち着いた雰囲気で居心地が良い!
- お悩み相談のボード! 自分の居場所ができたような気持ちになる!
- 国の有形文化財に登録されている歴史を感じる建物! 屋根下の彫刻が素敵!
【お客さんの生の声を聴いてみた!】
小杉湯がどのように愛されているのかを知るため、小杉湯のお客さんに直撃インタビューしてみました!
20年間小杉湯に通うAさん
朝風呂があるところですね。他の銭湯ではあまりないので。
うーん、20年間で雰囲気は変わったなと思いますけどね。僕が20年前に初めて来た時はスマホも無い時代で。交番のお巡りさんにおすすめの銭湯を聞いたら、小杉湯を教えてくれたんです。当時は年配の人が多くて、自分が1番若い世代の客でした。今ほど若者向けの発信はしてない普通の銭湯だったので(笑)。ただ、お客さんのことを大切にしてくれていることはいつ来ても感じられますね。
バーを経営しているBさん
清潔なところです。スタッフの人が毎回ちゃんと掃除しに来てくれるし。私は昔は結構潔癖症やったんですよ。髪の毛が落ちてるのが気持ち悪くて、いつも爪先立ちで歩いてたんです。でもここはすごく綺麗にしていて、来るごとに家の風呂みたいに思えるようになりました。顔馴染みの人もいるし。
全然話さないんですけどね。勝手にもう知り合いやなと思ってます。
初めて小杉湯に来た鹿児島出身のCさん
地元(鹿児島)は、実は温泉の源泉の数が全国2位で、温泉がたくさんあるんです。朝風呂をやっているところも多くて、早朝5時6時に起きて入りに行っていました。でも、ここ(東京)では、15時からしかやっていない所が多い。だから、小杉湯は朝からやっていていいなと思って。
何種類もお風呂があって、温度がちょっとずつ違っていたのが良かったです。あまり熱いお風呂には入れないので(笑)。
毎日通っているDさん
待合室の畳あるじゃないですか。ちょっと前に、イグサの良さを味わおうっていうキャンペーンがあって、それからずっと続いてあのスペースが設けられてるんです。あそこで漫画読むの、最高ですね。
やばいですよ。ほぼ毎日通ってます。「小杉湯となり」の会員にもなって、そこで仕事もできるのですごくいいです。仕事がある日は、高円寺で降りて、お風呂入って、この辺でご飯食べて家に帰るみたいな、そういうルーティーンがあります。
お風呂上がって、「小杉湯となり」で「今日も風呂最高でしたね」って他の会員さんと話すこともあるんだけど、やっぱりいい人間関係が生まれると思う。そういうところが結構好きだな。
(※)小杉湯となり:「小杉湯」の隣にある会員制のシェアスペース。銭湯が街のお風呂であるように、街に開かれたもう1つの家のような場所づくりを行っている。
昭和8年創業の、高円寺で愛される老舗銭湯。
<営業時間>
平日:15:30~翌1:30
土日祝:朝8:00~翌1:30 最終受付:翌1:00 ♨️木曜定休
〒166-0002 杉並区高円寺北3-32-17
高円寺駅北口から純情商店街・庚申通り商店街を経由し徒歩5分