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反田恭平が若者に伝えたい「クラシック音楽の魅力と未来」 時代を切りひらく信念に迫る

ピアノ・指揮・会社経営など多方面で活躍し、2021年にはショパン国際ピアノコンクールでの第2位受賞で大きな注目を集めた音楽家・反田恭平さん。日本のクラシック音楽界の現状に警鐘を鳴らし、「より多くの若者にクラシック音楽に親しんでほしい」と語ります。クラシック初心者におすすめの楽しみ方とは? 好きなことを仕事にするために必要な信念は? 今こそ若い世代に伝えたい、反田さんの音楽への思いや未来へのまなざしに迫ります。

Read the English version here:https://waseda-massken.com/k-sorita-en

プロフィール

反田 恭平(そりた・きょうへい) ピアニスト、指揮者、会社経営者。1994年、一般家庭に生まれる。2021年の「第18回ショパン国際ピアノコンクール」では51年ぶりの日本人最高位タイである第2位を受賞。「日本に音楽学校を作る」という目標を掲げ、2021年5月には自身のオーケストラである「Japan National Orchestra(JNO)」を株式会社化。日本の管弦楽団史上初の試みとして注目された。他にも自身のレーベルやマネジメント会社、オンライン音楽サロンの設立・運営など、日本のクラシック音楽界に新しい風を吹き込んでいる。

「指揮者になろう」と決意した11歳

――反田さんご自身がクラシック音楽を好きになったのはいつ頃でしょうか?

「好き」よりも「かっこいい!」って思ったのが先だったかな。11歳くらいのとき。

小さい頃はウルトラマンやスポーツが好きで。ピアノは習ってたけど、サッカーのほうが好きだったからサッカー選手になりたかった。

でも、11歳のときに桐朋学園付属の音楽教室に入って、ワークショップでオーケストラの指揮を振る体験ができた。そのときに「こういう世界があるんだ」って。指揮棒をおろした瞬間に風が吹いてきたような。サッカー以外にも、かっこいい世界があるんだって思った。

その次に『題名のない音楽会』というテレビ番組の一般応募で当選して、もう一度指揮を振る機会があって。そのころ流行ってたドラマ『のだめカンタービレ』のテーマ曲『ベートーヴェン交響曲第7番』の第4楽章を振ることができた。そこで「ああ、もう僕は指揮者になろう」って強く決意したかな。

そこから18〜19年経って、この前のツアーでベートーヴェンの7番を初めて全楽章振ったから、なかなか感慨深いものがありましたね。

――音楽を聴いて好きになるより前に、指揮を振ってハマったんですね

食レポを見るより、食べて「おいしい」って知るほうが早いのと同じだよね。

僕の運営しているオンラインサロン「Solistiade」の特別企画では会員向けの指揮者体験もやってて。フルオーケストラじゃなくて10人くらいの規模でも小さい子はすごく喜んでくれるし、指揮棒もそのままプレゼントしています。何らかの形で思い出になってくれればと思って。

言語を越えて人をつなぐ音楽の力

――反田さんの思うクラシック音楽の魅力とは何でしょうか?

「心のよりどころ」かな。

人間は言葉もない時代から意思疎通を図るために音やリズムを使っていた。そこから形態を変えて今まで残っていることを考えると、音楽はジャンルを問わず、人間にとって必要不可欠なものだと思う。

その中でもクラシック音楽は、中世に起源があって、そこから数百年間愛されて今も世界各地で演奏されている。その観点から見ても、クラシック音楽には何か人に訴えかけるものがあることは明白だよね。ポップスやジャズもクラシックから派生してできている音楽だと思うから、音楽っていったらまずはクラシックかなと僕は考えます。

――ご自身はクラシック以外の音楽もよく聴きますか?

聴きます。Official髭男dismやRADWIMPS、ORANGE RANGEが世代ですね。ラップ調が好きだからRIP SLYMEやTERIYAKI BOYZ®︎も。小中学校の地元の友達からポップスやラップを教わってた。妻もピアニストだけど、Mrs. GREEN APPLE、あいみょん、安室奈美恵などが好きですね。

――その中でも「クラシック音楽ってやっぱりいいな」と思う点は?

言語の垣根を越えて人に訴えかけるものがあるところ。

自分が音楽をやってよかったなと思うのは、言語の壁があっても、一音、一節、一曲弾いちゃえば誰とでも仲良くなれるからなんだよね。魔法の手段みたいな。弾いてると人が来るし、拍手をくれるし。ピアノや音楽を通じて自分の存在を知って、認めてくれる。音楽をやっていなかったら出会っていない友達やスタッフ、関係者がいるわけで。音楽には人と人をつなぐ不思議な力がありますね。

――他のジャンルとクラシック音楽が似ていると感じるところはありますか?

あるある。音楽だけじゃなくて、料理とかスポーツとか、一つの道をきわめる世界には共通点が多くて。

コンサートのプログラムはコース料理みたいなもので、1曲目は自己紹介代わりの短めの曲を置くことが多いんだよね。その次に前菜や魚料理みたいな小作品があって、休憩を挟んで、メインの肉料理みたいな大きめの作品。最後はデザートみたいなアンコール作品。構成の仕方が似てますよね。

ドレッシングを4人が作れば4通りの味になるように、同じ曲を違う人が弾くと印象が変わるところも似ていると思います。

――スポーツとも似ているというのは驚きです

演奏中ってどんなに必死で弾いてても、頭は意外と冷静で。ゾーンに入れたときは、時間がスローモーションになって、走馬灯のように感じることがあるんです。スポーツ選手でもそういうことが起きるって聞いたことがある。

とあるサッカー選手が「試合前にどんなことを考えてから行きますか」っていう質問に「自分がゴールを決めて歓声がワッてあがってる想像をしてから行く」って言ってて。

僕も本当に一緒で、演奏前にどんなに緊張してても、お客さんが拍手してくれて、笑顔でブラボーって言ってくれるのを想像してからステージに行きますね。

ジャンルは違えど、第一線で活躍してる人とはそういった共通点があるように思う。

「音楽は料理やスポーツとも似ています」