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國本未華インタビュー後編 ~気象予報士に聞く空の見上げ方・観天望気~

國本未華さんインタビュー後編 空の写真

 

「昨日見たあの雲は、今日の雨の予兆だったかも!?」

空にまつわる豆知識を持っておくだけで、空の見え方が変わってきます。毎日外に出るのが楽しくなる天気のあれこれを、気象予報士の國本未華さんに伺いました。

 

國本未華

早稲田大学在学中に資格を取得し、NHKやTBSなど各局に出演。子どもに天気の楽しさを伝えるワークショップ「こども天気部屋」などの活動も行っている。クリオネが大好きで、自作のクリオネグッズを展開するオリジナルブランド「Kunimone」も運営中!

今年になって『クイズでなっとく!あしたの天気はどっち?(三笠書房)』『空ときどきクリオネ(成山堂書店)』『クリオネのはなし(成山堂書店)』と3冊の本を相次いで発売した。

國本未華さん 写真解説のご様子
國本さんによる天気写真の解説

國本さん流「空の見上げ方」

——國本さんは天気や空をどのように楽しんでいらっしゃいますか

実は私は「空を楽しむ」っていう感覚があまりなくて。天気の仕組みや風向きに「なんでだろう」って興味を持つことの方が多いです。空を見上げると、雲がすごく速く動いているときがあるんですよ。そういう空が好きで「これは台風からの南風が雲を流してるんだな」って思ったりとか。地上は風が強いけど、上空はそれほど風が強くないときは「やっぱりそんなに雲速くないよね」とか。「なんでだろう」っていう気持ちを持つと空を見上げるときに楽しくなると思います。

 

——國本さんの好きな天気や雲は?

昔から雪が好きですね。天気の仕事を始めてからはもっと好きになりました。というのも雪の結晶って、気温と湿度によって形が変わるんですよ。だから雪の粒は1つとして同じものはないんです。そういうふうに思うと、もうめちゃくちゃ尊い。元から好きなものも別の視点からアプローチしてみると、さらにその魅力に気づけるんじゃないかと思います。

 

——雪を見にどこかに行くことはありますか?

北海道に行って雪を堪能するのが好きです。以前、ニセコに行ったとき、雪質にびっくりしました。本当にサラサラで、手で掬っても雪の粒一つひとつが見えるんです。気温も湿度も低い環境だからこそ体感できる雪ですね。寒いところに行けば行くほど、綺麗な雪の粒が見られます。

 

——都会と違って、雪の粒が肉眼で見えるのはなぜですか?

結晶が綺麗に形作られたまま積もっているからです。たとえば東京で降る雪は、すごく湿っぽくてベチャッとしてるじゃないですか。雪の粒はつぶれてしまっている。一方で気温が低いところだと、結晶が結晶のまま残っているので見える。気温がすごく低いことがポイントです。そういうのを知っているか知らないかでも楽しみ方が変わってきますね。寒いところに行って「こんなに綺麗に結晶が見えるんだ」って気づけるのも、そういう知識があってこそだと思います。

 

——天気を楽しむなら、田舎の方が良いですか?

幸い日本っていろんな天気現象がいろんな場所で起こるんですよね。日本列島は海に囲まれているので、そのおかげで雨雲が発達する場所もあれば、雪が降るところもある。北海道だとちょっと内陸に行けばサラサラの雪にも触れられる。日本はちょっと場所を変えれば全然違う天気と巡り合える魅力があるなって思います。

 

——國本さんの気分や行動に天気が影響を与えることはありますか。

冬が好きなので、冷え込む日はテンションが上がりますね。今シーズン一番の寒気が来る日の朝とかはすごく心が軽やかで。もちろん寒いんですけど。「冷たい空気来てるな」って肌で感じたり、空を見て「上空の高いところに寒気来てるな」って考えるのが面白くて。天気を予報するときに見る資料は全部紙なので平面で書かれているんですが、空を見るときはそれを立体的に想像するようにしています。たとえば、冬に強い寒気が来るとき、資料では、上空の天気図の紙に「-40」など温度の数字が書かれているだけなのですが、それを立体的に考えて「地上から高度5キロくらいの所が-40℃」って見る、みたいな。

 

——同じように見える天気の中でも違いに気づくには?

毎日絶対に違う気象状況なので、地上の天気図だけじゃなくて、高い層の風向きや湿度、上空の気圧の谷(天気が下り坂になるサイン)がどうなっていくかをしっかり見るようにしてます。同じような天気の日でもどこかに違うところが絶対にあるので、それをデータとしてまず見つけることを心がけています。一般に生活目線だったら、それこそ空を見てもらうのがいいのかな? 似たような日でも空を見ると、雲の量、密度、でき方の速さ、流れる速さは違いますよね。そこを見て楽しんでもらえたらと思います。 

それと専門的ではないんですが、思い出と紐付けるのはいいなと思います。大事な試験の日に雨がどれくらい降った、みたいな記憶を残しておくと、自分の思い出にもなるし、よくある天気の日でも特別な一日になるかもしれないし。空と自分の感情とを紐付けて記憶に残してもらいたいです。 

 

——國本さんご自身は思い出と紐付いた天気はありますか?

私、雨女で(笑)。いろいろありますけど、初めて外の中継現場から天気を伝える仕事をしたとき、雪が降るという予報をしてから八王子に行ったら、結局雨だったんですよ。手元に持っている紙が濡れるじゃないですか。紙が濡れると、ボールペンが使えなくなることにそのとき気づいたんです。よく考えれば分かることだけど、体感したことで、その記憶がすごく刻まれてます。ちなみにそのお天気中継はただただ寒くて、鼻が真っ赤なまま状況を伝える感じになりました(笑)。

 

 

今日からできる! 國本さん直伝「観天望気」のコツ

※観天望気:空の色や雲の動きから天気の変化を予測する方法

まずは飛行機雲ですね。注意深く見ると、一つひとつに個性があるんです。今日は短い今日は長い、って何度か観察して見比べられるようになれば、観天望気として役立つと思います。たとえば飛行機雲がなかなか消えず長く残っているときは水蒸気が多いので、雨が近いです。あと、雲の流れが速いときは低気圧が近いので、翌日は天気が崩れることが多いですね。普段から雲の流れを見ていないと、速いかどうかわからないので、見分けられるようになってもらいたいです。 

観天望気 飛行機雲

上級者向けなのは富士山の笠雲。たとえば「富士山のてっぺんに笠雲が出ていると、翌日は雨が降る」っていう観天望気は結構当たります。湿った風が富士山のてっぺんに当たり続けて、同じところで雲ができ続けるんですよ。笠雲って同じ雲がずっと張り付いているように見えるかもしれませんが、何度も発生と消失を繰り返しているから同じところにあるように見えるんです。