カメラ、かめら、Camera!
学部:文化構想学部
学年:3年
座右の銘:複製データ作らずアウトライン化
――まずは座右の銘が気になります。「複製データ作らずアウトライン化」とはどういう意味ですか?
アウトライン化っていうのは、文字を図形に変換すること。フォントのままで入稿してしまうと、印刷所がそのフォントを持っていなかった場合に印刷できないことがあるので、そういったことを防ぐために、文字も図形として入稿するという工程があるんです。
ただ、一回アウトライン化してしまうと、もう後戻りできなくて、後でミスが見つかった時にもうどうしようもないわけ。だから複製データを作っておかなきゃいかないんだけど、これが結構忘れがちということで。
そういうどうしようもないことをやらないように、日々小さいことから意識していこうねという個人的なことわざです。
――デザイン編集長ならではの考えですね。それでは本題の語りたいことを教えてください。
写真です。
――写真を撮り始めたきっかけは何ですか?
父のカメラを借りたことです。借りると言っても、父はカメラが高いからと触らせてくれなかったので、こっそり借りてカメラを楽しんでました。
高校で鉄道研究部に入って鉄道の写真を撮る中で、カメラで見る風景は目で見るのとは全然違うなと風景写真の良さを知りました。
――紹介したい写真があるとのことですが……
飯田橋で撮ったこの一枚です。
このビルの写真は波打ってるみたいに見えて、あの日見なかったら、出会わなかったら撮れていない写真だなと思います。ビルにここまでポテンシャルがあったとは(笑)。
――目で見る感覚と写真で見る感覚の違いって何ですか?
焦点距離や捉える範囲も全然違ってくるんです。たとえば遠くで飛んでいる鳥も近くで見えるみたいな。望遠レンズなどを使うと余計に違うと感じます。
――自分たちの目には見えないものを、カメラを通して見えるっていうのが魅力的ということですか?
そうですね。あとは、目で見ると風景は続いて見えるけれど、写真で撮るとそこだけが切り取られて(左右に壁ができて)、そこだけを映し出す。続いてる映像じゃなくて、そこだけが見えることで、引き立って見えるものもあるんじゃないかなと。
――今はビルをメインに撮っているんですか?
ビルを目的に撮りに行くっていうよりは、町をお散歩しながら風景写真を撮って、いい感じのビルがあったら撮るみたいな感じかな。
――カメラを持っている人におすすめしたい町歩きはありますか?
カメラを持って出かけるときって、観光地、たとえば浅草や東京タワーを撮りに行くことが多いと思います。だけど、降りたこともないような駅にランダムで降りて、特に何を撮りに行くわけでもないけどカメラだけ持って歩いて、ちょっと気になったものを撮るのも意外とすごく楽しいです。そういうときこそ、全然想像してなかったようないい写真とか、今どきに言うなら“エモい”写真が撮れることがよくあります。偶然の出会いを切り取るのがカメラを持って歩く魅力なんじゃないかなと思います。
――スマホではなく、カメラじゃないとダメですか?
写真を撮るならスマホでもいいと思います。スマホはサクサク写真を撮れることが魅力。一方でカメラは手間をかけて設定をいじって、その一枚に集中して写真を撮る。その一枚にかける時間が増えるっていう点ではカメラの方がいいなあと思います。その方が写真への思い入れも深まるし、出来も変わってきます。
あとスマホの画質もいいんだけれど、一回カメラを持ち始めたらカメラの画質が良すぎて、スマホの画質が許せなくなる。持っている人は分かると思うけど、本当にもう全然違うんです。
――ちなみに今使われているカメラって何ですか?
今はCanonのEOS80Dてやつ。ただね、最近はSonyが欲しい。個人的に。
――カメラが欲しいけれど、高くて買えない人はどうしたらいいですか?
そういう人は中古で買うとか、写ルンですとかもいいと思うし、最初は全然スマホでもいいと思います。
最初は別にプロ用はいらないから、初心者用でいいと思います。おすすめは、CanonのeosRPです。 ミラーレス一眼で、そのRシステムっていうミラーレスシリーズが5年くらい前に出たばかりなんだけど、初心者用でカメラ本体10万円くらいです。
初心者用は大体APSCというセンサーサイズが小さいやつが多いんだけど、このカメラはまさかの10万円でフルサイズの大きいセンサーが付いていて、写真を明るく撮れます。さらに、軽くて持ち運びやすいし描写も綺麗。 レンズもいっぱいあるし、デザインもかっこいいし……いいことずくめってわけ。一般的には10万円は高いけれど、カメラ的には結構安くてかなりお買い得だと思います。
――次回発行の『ワセキチ』でカメラ関係の記事を書かれたんですよね?
『ワセキチ』Vol.44の24ページ目が、僕が企画長を務めて、さらにはデザインまで手掛けた写ルンです企画になっています。写ルンですでぷらぷら写真を撮って、それを誌面にしただけの企画ですが、どうぞよろしくお願いします。
――カメラについて全然知らなかったんですが、興味が湧いてきました! これからもいい写真を撮り続けてください。