早稲田で最もアツイ出版サークル、新会員募集中! 企画、取材、デザイン、ぶんげい、好きなチームで自由に活動しよう!

「今しか出来ないことがある」春風亭昇太さんが大学生に語る

「今しか出来ないことがある」

春風亭昇太さんが大学生に語る

 誰もが通り過ぎる「青春」。著名な方やテレビでご活躍されている方も青春を過ごされたはずです。今回は、青春真っ只中にいる私たちが人生の先輩に青春時代のお話を伺いました。
 お相手は笑点でお馴染みの落語家、春風亭昇太さん。昇太さんはどんな青春を過ごされたのでしょうか。

 

Q.昇太さんはどんな子どもでしたか?

 僕は自分の子どもの頃が嫌いなんです。今この場に当時の自分が隣にいたとしたら、正座させて注意したいです(笑)。とにかく人見知りをする子どもでした。自分のクラスの中では話せても、他のクラスに行くと途端にダメ。

 それと、興味のないことは全くしない子でした。たとえば、字が下手だったから習字教室に通わせてもらっていたけれど、行きませんでした。習字の道具を持って出かけて、ずっと散歩して、習字教室が終わったくらいの時間に家に帰る。本当にダメな子でした(笑)。

 一方で、好きなことはとことんやる子でもありました。小学生の頃は粘土で怪獣を作ること、中学生の頃は中世城郭を巡ることに熱中していました。最近ではお城に関する仕事もあって、昔からの趣味が今に活きています。

 

ブランコに乗る昇太さん

 

Q.幼い頃の印象的なエピソードはありますか?

 小学生のとき、友達が亡くなったことがすごくショックでした。大人びていて頭が良くて、僕がふざけると諌めてくれるような友達でした。人はおじいさんやおばあさんになってから死ぬものだと思っていたので、びっくりしました。この出来事がきっかけで、「人はいつか死ぬんだ。だから、なるべく楽しく生きていこう」と割と早い時期に思いましたね。

 

 

Q.昇太さんは大学で落語と出会ったんですよね?

 実は、大学ではラテンアメリカ研究部に入ろうと思っていたんです。中南米の国の楽しそうな雰囲気にずっと憧れていて、バックパックでいいから大学生のうちに旅行してみたくて。でも、いざ部室の前に行ってみたら誰も人がいなくて……。また来ようと帰りかけたとき、隣の部室の人が「今ラテンアメリカ研究部の人たちはご飯を食べに行ってるから、戻ってくるまでうちの部室で遊んでいけばいいじゃないの」と声をかけてくれました。「じゃあ」と思って入ってみたら、そこが落語研究会だったんです。

 先輩たちがずっと冗談を言っていて、そのうち部室の棚に積んであるお酒を飲み始めたりして(笑)。そのとき「この人たちの方がラテンだな」と思いました。楽しく4年間過ごせそうだから、「ここでいいや」と思って落語研究会に入ることにしました。

 そして、先輩に誘われて初めて落語を観に行きました。落語に興味はなかったけれど、付き合いだからと。どうせ、おじいさんが喋って、おじいさんやおばあさんが笑ってるんだろうと思っていました(笑)。でも、生で観たらむちゃくちゃ面白かったんです。

 落語を観て一番良かったことは、先入観はくだらないと分かったことです。それまではつまらないと思っていた落語が、生で観たら面白かった。「たかだか20年くらい生きてきた頭の中で持っている先入観なんて何でもないんだ」と、そのときに思いましたね。落語が面白かったことよりも、先入観が覆ったことが驚きだったかな。

 だから、今でも自分の思っていることをあまり信用してないね。見たことのないものを語るのはダメだなって。波長の合う・合わないはあるかもしれないけれど、世の中につまらないものはないはずなんだよね。だって、つまらなかったら生まれていないんだから。

 

Q.学生にどのように落語を楽しんでほしいですか? 

 落語は敷居が高いとよく言われますが、そんなことはないですよ。昔の言葉ではなく現代の言葉で喋っていますからね。落語の魅力は、お客さんの想像によって完成する芸だということです。演者が喋った言葉から、お客さんがそれぞれの頭の中で映像を思い浮かべているので嘘がないんです。そこが落語のいいところなんですよ。

 たとえば、「向こうからいい女が来るね」って言ったとき、お客さんが500人いたとすると、500人がそれぞれ別の顔を思い浮かべているんです。演者としてそこがすごく楽しいですし、落語の面白さだと思います。学生の皆さんにはぜひ一度、気楽に落語を聞いてみてほしいです。僕も落語研究会に入っていなかったら一生落語を聞かずに死んでいたと思うので、あまり偉そうなことは言えないんだけどね(笑)。

 

Q.最後に、大学生に向けてメッセージをいただきたいです!

  僕が大学に入って1番良かったと思うのは、新しい物事をたくさん知れたことです。だから、皆さんには今まで見てこなかったものを大学生のうちにたくさん見てほしいですね。特に東京は、伝統芸能や演劇・ライブなどを直接見れる機会が多いです。社会に出ると今よりも忙しくなるから、大学生のうちにできることをたくさんやって、楽しんでもらえたらと思います。

 僕は大学に入ったけれど、卒業していないんですよ。落語家になるからもういいや、と思って途中で辞めたんです。だけど、辞めてから勉強をしている夢とか見るのね。「今1番何をやりたいですか」って聞かれたら、大学に行きたい。大学でもう一度歴史を勉強したい。だからね、君たちは卒業だけはしなさいね(笑)。

 

大学生へのメッセージ「今しか出来ないことがある」

 

 落語と出会って人生が大きく変わった昇太さん。青春時代の出会い、思い出、発見はすべてその先の人生に活きているのですね。「先入観なんてくだらない」の一言はダイレクトに響きましたし、「学生のうちにやりたいことをしよう!」と背中を押されました。
 また、昇太さんの明るいお人柄から、昇太さんが愛され続けている理由をしみじみと感じました。これからもご活躍を心より楽しみにしております。