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芸能事務所トップコートに聞いてみた! 第1弾「芸能マネージャーってどんな仕事?」

芸能事務所トップコートに聞いてみた!芸能マネージャーってどんな仕事?
「芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら」の書影
「芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら」(ワニブックス)
木村佳乃、中村倫也、佐々木希、松坂桃李、菅田将暉らが所属する芸能事務所TopCoatの芸能マネージャー陣がリアルな実体験を語った『芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら』(ワニブックス)。
今回は、TopCoatの芸能マネージャーであり、本書にも携わったNさん(女性)・Sさん(女性)にお話を伺った。
第1弾となる本記事では、主に芸能マネージャーの仕事内容についてお届けする。

 

ーーまず、本書はトップコートさんの企画から実現したということですが、発売の経緯を教えてください。

 Nさん:学生さんの将来の選択肢の1つとして、芸能マネージャーを考えてほしいと思って作りました。
今、業界全体でマネージャーが不足しているんです。アーティストを支えるマネージャーがいないと、業界が衰退してしまう。
マネージャーに対して「大変な仕事」というイメージがあるかもしれないので「それだけではない」ということを知っていただいたらハードルが下がるんじゃないか、というのがきっかけです。

 

マネージャーの仕事内容

ーーマネージャーさんの具体的な仕事内容を教えてください。

 Sさん:営業と、スケジュール管理が大部分ですね。ドラマや映画、舞台などの様々なお仕事を調整していきます。お休みの期間を設けることはありますが、基本的には露出を絶やさないよう、戦略的にスケジュールを組みます。
若手のアーティストは、お仕事を獲得するためにオーディションを受けることが多いので、まずはオーディションの情報をゲットしてきます。
自ら制作会社やキャスティング会社に出向いたり、電話で営業をかけたりして「次はどんな作品をやられるんですか?うちにこういうアーティストがいるんですけど、会ってもらえないでしょうか?」とアポイントを取って売り込みをしたり、作品の情報を掴んでくることが一番大きなお仕事になるのかなと思います。

 

ーー実際に出演する作品を決定する時に、アーティストさんとどのくらい相談されるんですか。

 Nさん:アーティストによります。多分、どの事務所もそうだと思います。ある程度、キャリアを重ねたアーティストは相談することが多いです。キャリアの浅いうちは、自分をまだ客観的に見られないときに自分で仕事を選ぶと偏ってしまうので。新人のうちは、選べるほど仕事は来ないんですけどね。

 

ーーマネージャーさんといえば、撮影現場で働いているイメージがあります。アーティストさんに時間を伝えたり、走ってものを届けたり。

 Sさん:外に出て働いているイメージってことですよね。

 Nさん:もちろん現場マネージャーは現場に出ていることが多いです。
でも意外と半分ぐらいはインドアの仕事かもしれないですね。事務作業とかが結構多いので。

 Sさん:想像されているような(外へ出る)仕事ももちろんあります。
その空いてる時間に合間を縫ってメールを返信したり、写真チェックをしたり、差し入れを探したり。隙間時間を見つけて事務作業をすることが多いです。

著作者:pressfoto/出典:Freepik

 Sさん:それと、インタビューの原稿等を校閲するのも仕事の一つです。本人が言っていたニュアンスと違うなとか、誤字脱字も含めて加筆修正をして、それを媒体さんにお戻しします。それって多分、マネージャーの仕事だとはなかなか思わないですよね。

 

ーーおもしろいですね。他にマネージャーの仕事であまり知られていないものはありますか。

 Nさん:アーティストのSNSの写真をマネージャーが撮っていることもあります。カメラマンになる機会は多いですね。
それと、昔、モデルの女の子を担当していたときは、雑誌の編集みたいな作業もしていました。その子が連載ページを持っていたので、毎月いろんな着回しをアップしなくちゃいけなくて。基本的には私が写真を撮って、キャプションつけて配置して送るみたいなことをやっていました。クレジットも入れてもらったりして。編集の仕事みたいに、本人にブランド名を聞いて「なんとかのなんとかコーデで……」みたいに全部書いてました。
モデルのマネージャーさんなら今でもやられている方はいるのかも。月1だったから楽しかったです。
 

ーーすごいですね。

 

Sさん:現場に差し入れをするときに、本人に何を差し入れするか提案するときもあります。「寒い現場なので、あったかいお弁当はどうですか」とか「キャストさんが甘いもの好きだから、こういうお菓子が良いんじゃないでしょうか」とか。差し入れ情報に強くなったりします。

Sさん:あとは、CMや映画のメイキングなど、映り込んではいけないものが映っていないか、本人が変な表情をしてないか、そういったことをチェックするのも現場マネージャーの仕事です。

Nさん:競合管理(*)ってわかりますか? たとえば、あるお水のCMに出てたら、他のメーカーのお水を持ったり映り込まないように気を配らなければなりません。なので、現場にあるのが他のメーカーのお水だったら、ラベルを剥がしたり、 他のお水に差し替えたり。チェックするものは多いですね。

※競合管理
あるメーカーと契約しているアーティストが、他メーカーの商品を使用している場面をメディアに見せないよう管理すること。

Nさん:それで一番見落としがちで怖いのが、SNSなんですよ。
私が前に聞いた話ですごいなと思ったのは、CM契約の多いアーティストのマネージャーが、目の中に反射して映り込んだものまで見てるって話ですね。鏡の前で撮った写真とかだと、化粧品なんかが目に反射してないかチェックしていると言っていて。
体力が必要な仕事よりも、むしろそういう細やかな仕事の方が多いかもしれないです。

Sさん:観察力が大切です。

 Nさん:あとは、好きな原作とかを自分で見つけて、これをうちのアーティストでやれないか売り込みに行くこともあります。これはあまり、マネージャーの仕事のイメージがないかもしれないですね。
マネージャーの仕事って受けたオファーをどうしようか考えるイメージがあるかもしれません。出版社に行って映像化前の作品のお仕事の権利を取ってくるマネージャーさんもいるんですよ。それで実現させたのを何回も見たことがあります。
テレビ局や映画会社を希望して叶わなかった方に、 意外とそれ、マネージャーで実現できるかもということをぜひ学生さんに知っていただきたいです。

 

 マネージャーの幼少期

ーー幼少期の経験がマネージャーになってからどういう風に活かされているか教えてください。

 Sさん:私の場合は幼い頃からエンタメが割と身近にあって。母が若い頃から山口百恵さんの追っかけをしていたんです。そんな母の影響で子役養成所に入所をしたんですが、私は表舞台で飛躍することはできませんでした。
でも、そういう自分の生い立ちがあるからこそ、アーティストに親身に寄り添えたり、お仕事が決まった時には一緒に喜べたりなど、今の仕事に活かされていることは多いのかなと思っています。

 Nさん:私は小さい頃から予定を立てることに厳格な家で育ったので、未来の予定を無意識に考えるようになっていました。大学受験のときに、自力で1ヶ月の夏休みの勝手な時間割を作って、勉強時間は夜9時まで。毎日同じリズムで寝起きすると決めて実行していました。それがスケジュール管理の習慣になったかもしれないですね。
今の仕事のなかでも、積み重ねが好きなんです。毎回(担当アーティストの)1つの作品が終わると、1個私のミッションが終わった、みたいな達成感があります。そこはやっぱりマネージャー業としてのやりがいに繋がる部分ではあります。

 

マネージャーに向いている人

ーーマネージャーに向いている人はどんな人ですか。

Nさん:意外とミーハーな人は向いてると思います。お2人は今、好きな芸能人とか、アイドルとかいますか?

ーーいます!

著作者:bedneyimages/出典:Freepik

Nさん:そういう方たちと距離の近い仕事だからという気持ちがあるだけでも入口は良いと思います。好きなアーティストに会えるっていうモチベーションだけで結構頑張れたりするから、それもやりがいですよ。

Sさん:会いたかった人や憧れだった人に会えた時は嬉しいですよね。

Nさん:それで、自分がアーティストの仕事を取りに行くようなポジションになったときに、自分の好きな役者さんが出る作品に売り込みに行けば良い。めちゃくちゃモチベーション上がって頑張れて、その結果アーティストも良い作品に入れて、もうWIN-WINですね。
最近うちの会社(トップコート)でMrs. GREEN APPLEが好きなマネージャーが多くて。それもうちのアーティストが出演している作品の主題歌を担当していたことがきっかけで、気がついたらみんな好きになったりして。そういうこともあります。

 

ーーアーティストさんを売り込んでいくマネージャーとして、コミュニケーション能力はどれだけ重要なのでしょうか……?

Nさん:コミュニケーション能力は重要だと思います。ですが、コミュニケーションが苦手な人でも、担当アーティストを好きな気持ちを持って仕事を続けていれば、営業もできるようになります。
実際、マネージャーさんってすごくおとなしい方も多いです。営業だと喋らないといけないって思われがちだけど、メールがマメな人の方が実は仕事が取れたりするんです。あとは資料作りが上手な人とか。辛抱強さが必要な時も結構あるので、必ずしも明るくておしゃべりな人だけが求められているわけではないですね。「あのマネージャーはそんなに喋らないけど、担当アーティストはどんどん仕事決まっていくな」みたいなことも結構あります。
コミュニケーション能力はもちろんあった方が良いけど、今はそれを補ってくれるような便利なツールがいっぱいありますし。喋れることだけが重要じゃないっていうのはすごく思いますね。

ーー資料作りも仕事に入ってくるんですね。

Nさん:そうですね。資料からマネージャーのアーティストへの熱量が伝わるってプロデューサーの方からよく言われます。 やっぱり、いかに見てもらうかがすごく大事。多分それって就職活動の履歴書とかと同じなのかな。
あと、ストーカーではないですけど、アーティストを売り込むために待ち伏せしてる人もいますね。プロデューサーがいるであろう場所に毎日通って、とにかく待ち伏せして、みたいな。それで仕事をゲットした話も聞いたことあります。それも執念だから気持ちは伝わります。

ーーなるほど。マネージャーさんによってスタイルが違うんですね。

 

書籍紹介

 

「芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら」の書影
「芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら」(ワニブックス)
芸能マネージャーという、あまり表には知られていないその仕事内容。
どんな生活を送っているのか、なぜマネージャーになったのか、担当アーティストとの関係性についてなど、木村佳乃・中村倫也・佐々木希・松坂桃李・菅田将暉・萩原利久・杉野遥亮・夏子・TAKAHIROらが所属する株式会社TopCoat(トップコート)のマネージャー陣とアーティスト達が語る、新しい形のお仕事本。
エンタメ業界に興味のある就職活動中の学生にもおすすめの一冊です。

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