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【マス研員に取材】第六回

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連載企画「マス研員に取材」は、マス研員たちに自分たちの趣味やハマっていることについて語ってもらい、新たな一面を発見しようという企画である。
連載は第六回に突入。ゲスト3人のテーマはそれぞれ、江戸文化カメラヨルシカです。
今回もメンバーの新たな一面が発見できました。ぜひお楽しみください!

「令和が自分に合ってない」私にとっての江戸文化

きなこプロフィール

 

ニックネーム:きなこ
学部:日本文学系(インカレ)
学年:3年
座右の銘:何事も向上心!

 

――語りたいことを教えてください。

落語や歌舞伎などの江戸文化です。

 

――興味を持ったきっかけは何ですか?

きっかけは、おじいちゃんと見ていた「笑点」です。私が幼稚園生くらいのときに、毎週日曜日はおじいちゃんと「笑点」を一緒に見ていて。成長するにつれて「笑点面白い!」と思うようになりました。おじいちゃんには「笑点は大喜利だけど、寄席はもっと面白いからいつか見に行って」と言われて、上京してから実際に寄席に足を運んでみるとやっぱりめっちゃ面白かったです。それ以来、江戸文化っていいなと思うようになりました。

歌舞伎は、大学生になってから歌舞伎が好きな友達に誘ってもらったことがきっかけです。徳川家康の息子の『信康』という演目を見に行った時に(自分の中で)ビッグバンが起こって、「歌舞伎すごい!」ってなりました。

 

歌舞伎座の写真
歌舞伎座。開演前で人がごった返している。

 

――具体的に落語や歌舞伎に魅力を感じる理由をお願いします。

1つ目は、世界観です。寄席や歌舞伎の舞台の中って、客席も凝っているんです。ちゃんと江戸を模した幕があったり、装飾されていたり。江戸時代に入り込んだようで、世界観がしっかりしているのがいいなって思います。

2つ目は、親しみやすさです。歌舞伎とか寄席とかって、能とは違って江戸時代でも庶民的なものでした。今でいうお笑いみたいな感じで、楽しければそれでオッケー、みたいな価値観があって。だから歴史ものを上演しているんですけど、色んなところに脚色を加えて史実と変えている部分があるんです。それを見ていると、パワーが得られます
現代のエンタメの原点みたいなものだなって思っています。時代を超えても、明日も頑張ろうって誰かを思わせる活力は絶対に受け継がれていくものなんだなって感じます。

 

――具体的な例はありますか?

歌舞伎の『め組の喧嘩』っていう演目が一番分かりやすいです。消防士の前身みたいな人たちが喧嘩する演目で、アクションがすごいんです。手を使わないではしごをダダダって駆け下りたり、10mもあるセットの上から飛び降りたりします。その場面になると、眠そうにしていたおじいちゃんも、なんだなんだって起きて観始めます。

あとは、シンプルに泣ける、感動するものもあります。お父さんが息子を殺すシーンがある演目では、みんなボロボロ泣いてました。

 

――ちなみに、歌舞伎の言葉の言い回しは難しくないのですか。

歌舞伎はイヤホンガイドというものがあって。(チケットとは)別売りなんですけど、生で実況してくれます。セリフの解説や、衣装・歴史的背景についてなど全部教えてくれるので、 イヤホンガイドがあると初心者でも問題なく見れます。

 

――おすすめの落語家の人はいらっしゃいますか?

私が好きなのは林家正蔵さんという方です。 落語には古典落語と現代落語の2つがあって(*1)、正蔵さんはどっちもされています。落語には、お客さんが本編にスムーズに入っていけるように、つかみとして「枕」という導入部分があるんですけど、(正蔵さんの枕は)めっちゃ面白いです。

(*1)古典落語:江戸時代頃に生まれ、多くの落語家によって継承され続けている話。『時そば』『まんじゅう怖い』など
新作落語:落語家が新しく創作した話。現代の感覚に基づいているものもある。

 

浅草演芸ホールの写真
浅草演芸ホール。この日は「笑点」でお馴染みの木久扇さんと好楽さんも出ていたそう。

 

――ありがとうございます。昔からある江戸文化にはどの部分で惹かれているのですか?

すごく個人的な話なんですけど、私、令和が自分に合ってなさすぎて。江戸の方が合っているんですよね。ネット社会にも疲れた身で。今のアーティストさんだと、デジタルを使ったパフォーマンスをしていると思うんですけど、歌舞伎は全部アナログなので、その分ヒトの手が込んでいることに温かみがあっていいなって。それと、純粋に江戸文化そのものが自分に合っているかなって思います。

 

――江戸文化のどのようなところが合っていると感じているのですか?

1ついいなって思ってるのが、絶対的なリサイクルです。たとえば、布きれ1つとっても、一回ふきんに使ったら、次は下駄の部分を修復するのに使ったり。風呂敷にしたあとは雑巾にして、燃やしたら肥料にする、というようなサイクルがあって、それが私はめっちゃ好きだなと思います。今推奨されているSDGsにも通じますよね。

あと、江戸時代に作られた(染物とかの)色って、全部ちょっとくすんでて、今みたいにビビッドの色ってそんなにないんです。そういう色味も好きです


最後に、五七調も好きです。落語や歌舞伎は五七調が使われています。ただの会話にはない聞き心地のよさや、思わず声に出したくなってしまうような、歌とはまた違う独特な節があって、好きです。

 

――最後に、読者に伝えたいことを教えてください。

ぜひ実際に寄席や歌舞伎に足を運んでほしいと思います。価値観がひっくり返るかもしれません。東京都内だったら、たくさん寄席も歌舞伎もやっているので、ぜひ一度行ってほしいです。

また、昨年、マス研の取材分科会の活動で春風亭昇太さんに取材しました。昇太さんの学生時代のお話や落語との出会いなどを伺った記事になっております。ぜひご覧ください!

記事はこちら!

 

――寄席や歌舞伎に興味が湧きました! ありがとうございました。