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認定NPO法人「発達わんぱく会」とは ~ゼロからわかる発達障がい~【『ワセキチ』Vol.42記事公開】

ゼロからわかる発達障がい

発達障がいにおける早期療育は大変重要である。
そこで、今回は認定NPO法人発達わんぱく会の代表を務める小田様に早期療育に関するお話を伺った。

プロフィール写真

 ーー設立の経緯はどのようなものでしょうか
 「発達障がいを持つ子どもが、わんぱくに成長できる社会を創りたい」との想いから、2010年に設立しました。
 幼児の発達障がいへの理解は進んでいますが、幼児の発達障がいに特化した教育を行える専門家の数が少ないため、預かりメインの施設が多いのが現状です。しかし、発達障がいの子どもたちの特性は「出る杭」と見なされて成長の過程で打たれることが多くあります。
そのため、早期の発達障がい児教育を通して「自分は自分でいいんだ」と、発達障がいを持つ子どもたちがのびのびと成長できる環境を整えることが重要だと考え、団体を設立しました。

ーー「わんぱく」とはどのような意味でしょうか
 わんぱくとは、自らやりたいことを見つけ、自由に楽しむことです。その中で、私たちは発達障がいを「わんぱくに育つことが苦手」と捉えています。
 例えば、定型発達の子どもは視野を広く持ち自分が興味を持つもので遊ぶことが自然とできます。一方で、発達障がいを持つ子どもはそれが上手くできません。興味の範囲が狭く遊びを楽しめない子や、好奇心が旺盛すぎて色々な方向を向いてしまう子がいます。しかし、適切な療育を施すことで、その子なりの興味の持ち方や注意の向け方を獲得できるのです。

ーー「こころとことばの教室こっこ」にはどのような療育プログラムがあるのでしょうか
 子ども一人一人に合ったものを、ということで「個別」「グループ」「音と色の療育」という3種類のプログラムを設けています。プログラムの中でも子どもの発達段階に合わせてクラスを作っています。

ーー「こっこ」の活動とは別に、「こどものひろば」の活動を始めたきっかけは何ですか
 今まで話した療育プログラムは国の「障がい児通所支援」の一環です。税金を利用しているので、保護者が役所で手続きをする必要があります。一方で、「こどものひろば」は私たちの自主事業ですから、子どもなら誰でも手続きなしで参加できます。療育のプログラムだけだと、親御さんの考えから中々来てもらえないことが多いです。
 また、定型発達の子も来られる「ひろば」にすることで通いやすくなると考えています。何回か通って、スタッフと顔見知りになったり制度を知ったりすると、障がいに関わらず「我が子の発達のために」発達相談に通おうという考えになって、手続きをしてもらえることもあります。

ーーひろばというワンクッションを置いてあげることで、療育に繋げやすくしているんですね

インタビュー風景

ーー子どもの障がいを保護者が受け入れやすくするためにしている工夫などはありますか
 私たち「発達わんぱく会」の職員は、通ってくるお子さんに「障がいがある」とは思っていません。発達障がいの特徴をもつことは確かですが、私たちはそれをその子の個性だと心から思っています。
 「こころとことばの教室こっこ」という名前にもその思いが込められています。今から12〜13年前には「障がい児施設」という名前の施設がありました。そこは、児童館に併設されているのですが、入り口が裏側にあったり施設の中も薄暗かったりと、保護者の方が絶望感を抱いてしまうような環境でした。しかし保護者は、我が子の個性に気付き、我が子の為に頑張っているわけなので、その絶望を少しでも無くしたいと私は考えました。そのため、こっこの施設も明るくし、外からよく見えるようにしています。
 保護者とも、障がいの特性ではなく子どもがどう過ごしているかの話をするだけです。「障がいを受容する」のではなく、「我が子を我が子のまま、すべて受け入れる」ための助けができる環境になっていると思います。

ーーそういった保護者のケアの他に、保育所の巡回もされていますよね。巡回先では具体的にどのような活動をされているのですか
 現在は、先生が行う支援を言語化することが私たちの主な役割で、一番は保護者に向けたものです。保護者が子どもの特性を理解していないと、保育所での支援は十分でも、小学校に入学した後に苦労すると思います。子どもが今どのような障がいを抱えているのか、それに対してどのようなフォローを心がけるべきなのか、それが無いとどう困るのか、などを正確に言語化することが必要だと考えています。

ーー今後の取り組みについて教えてください
 発達障がい教育ができる人材育成に取り組んでいます。教室における臨床の中で、ゴールから逆算的に人材を育成することに取り組んでいます。そこで培ったノウハウを広めることで同じ志を持つ仲間を増やし、発達障がいの子どもたちがわんぱくに成長できる社会を作りたいです。

 

創業者・理事長 小田 知宏(社会福祉士・保育士)
1997年東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社入社。
2000年より障がい福祉企業に転職。2010年4月より筑波大学および大学院にて科目等履修生として発達心理や言語聴覚などを学ぶ。同年12月にNPO法人発達わんぱく会を設立し理事長に就任、現在まで活動している。

NPO法人発達わんぱく会
2010年設立。発達障がいの早期発見・早期療育を行う「こころとことばの教室こっこ」を軸に、保護者向けの相談支援事業、療育施設向けの開設・運営支援事業や保育園・幼稚園への巡回支援事業など、発達障がいに関する社会課題に多方面からアプローチしている。
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